園芸をしていると、「よく見かけるけど読めない」とか「なんとなくわかるけど実は違う意味だった」なんていう独特の業界ワードが沢山あります。
私自身がわからなかったワードなどを調べて記載していることが多いので、引用した箇所については出展を明らかにしています。
私自身の解釈を文章化していますので、表現方法に誤りがあることも多分にございます。記載内容にもし誤りがありましたら、お問い合わせよりご指摘いただけますと幸いです。
調べたい用語にジャンプできるようにしていますので、目次からご覧ください。
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コーデックス・多肉園芸用語一覧【栽培用語】
実生/みしょう
種から育てること
種から育てられた株を「実生株」ともいう。当サイトで紹介しているのは、全て実生株や実生の方法なので、この用語はよく使います。
同じ親から取れた種子で育てた実生株でも、親のDNAをそのまま引き継がずに全ての種子が別々のDNAを持つので、稀に突然変異の株が出来上がったりするところが面白い所でもあります。
現地球/げんちきゅう
自生地に生えていた植物を輸入してきた、日本で育っていない輸入株のこと
現地から輸入されるときは土を全て払い落として根をむき出しの状態にしたものや、根を全て切り落とした状態のもの、輸入後に日本で発根活着させた状態のものがあります。
原種/げんしゅ
栽培品種や改良品種の元になった野生種で、交雑していない品種
園芸用語として「原種」という概念を理解するのは意外と難しくて、野生種全般を原種とする場合もあれば、亜種などがある場合はその祖先になった種のみを原種とする場合もあります。
交配種/こうはいしゅ
異なる種同士をかけ合わせて作られた品種で、親の品種が同定できるもの
交配種は異なる品種の親株からうまれた品種で、親株の種類がしっかりと同定できるものを言います。
交配品種は原種に比べて丈夫であったり、より見た目の美し品種を作り出すなどの目的で作られることがありますが、やたらと交配品種を作るというのも原種の保護の観点ではあまり好まれません。
シノニム
同種異名のこと
ただ「同種異名」と言われてもよくわからないので、詳しく調べてみると北海道大学のサイトには以下のように解説が載っていました。
1.同タイプ異名(homotypic synonym)
同タイプ標本に対し新たな名前が再命名され生じる
2.異タイプ異名(heterotypic synonym)
分類見解上のシノニム = 元々異なるタイプ標本に対し命名された名前が、それらのタイプ標本が同種類と判断され生じる
3.同時多発シノニム(superfluous synonyms)
同時に複数の名前が与えられた
私が一番多く見るのが2番の「異タイプ異名」のケースで、例えば「チレコドン・ペアルソニー」と「チレコドン・ルテオスカマタ」は元々は似ているけど別の品種とされていましたが、のちにシノニムであるとしてペアルソニーに統合されました。
別種として登録されていた種が、時間が経ってから見直しして同種と判断された場合などに見かけることが多いワードですが、「シノニム」には上記のようにいくつかのパターンがあるんですね。
カキ仔/かきこ
親株から分岐した仔株を切り取ったもの
アガベやユーフォルビアのいくつかの品種では旺盛に仔株をつけるものがあり、それを親株から切り取って育てたものをカキ仔と言います。
DNAは親株のクローンなので種親にはなれませんが、交雑種など親株が不特定で実生株が作れない場合にあえて芯止めなどをして強制的にカキ仔で増やすことがあります。
種から育てた実生株と区別する時によく使われます。
芯止め(摘芯・摘心・ピンチ)/しんどめ(てきしん)
栄養分を側芽や植物本体の成長に回すために、あえて生長点を取り除くこと
植物は中央の茎の先端から花芽を出して開花させるために生長していきますが、もっと脇芽を出したい場合やカキ仔を出させたい場合、または植物本体を大きく太らせたい時などに、茎の先端にある頂芽を取り除くことを芯止めと言います。
特にコーデックスや多肉のように、花よりも植物本体のボリュームが魅力の植物はあえて花芽を摘み取ることがありますね。
仔吹き/こふき
親株から仔が沢山でる品種のこと
ユーフォルビアオベサなどいくつかの品種には、基本種に比べて旺盛に仔を吹く品種があり「仔吹きオベサ」のように名前に”仔吹き”つけられているものがあります。
徒長/とちょう
日光不足や過剰な施肥によって植物がひょろひょろと細く成長すること
ずんぐりとした形状が魅力のコーデックスですが、育て方によってはひょろひょろと上に細く伸びてしまうことがあり、この状況を「徒長」していると言います。
徒長に関しては下記の記事に置いて詳しく説明していますのであわせてご覧ください。
腰水/こしみず
水をはった容器に鉢を入れて鉢底から底面吸水を一定期間行う方法
実生をしていると必ず目にするのが「腰水」というワード。種子を発芽させるときなどに腰水をすることで、水切れを起こす心配がないことと、上からの給水による種子の流亡を防ぐというメリットがあります。
糸状菌/しじょうきん
種子などから生えるカビの一種
パキポディウムやアガベの実生をすると、高確率で種子から糸のような白いカビが発生します。このカビが「糸状菌」です。
矮性(矮化)/わいせい(わいか)
小型のまま成熟すること、小型のまま成熟した株
病気や遺伝的要因などによって、通常の大きさよりも小型のまま成熟することがあり、その特性や株自体の事を言います。
遮光/しゃこう
日光を遮ること
暑い乾燥地帯に自生するコーデックスでも、日本の直射日光を常に浴び続けると葉焼けを起こすことがあるので、日光を遮る「遮光」を行って屋外栽培をすることが多いのでよく目にするワード。
接ぎ木/つぎき
成長の遅い株などを切断し、より丈夫で成長の早い品種に接着すること
サボテンなどで行われることが多い方法ですが、パキポディウムなどでも生長が遅く育てにくいブレビカウレを、生長の早く丈夫なラメリーやゲアイーに接ぎ木をすることがあります。
台木/だいぎ
接ぎ木をする際に土台として使われる方の植物
胴切り/どうぎり
サボテンや塊根植物の胴を真横に切ること
胴切りはサボテンや塊根植物画成長する中で、徒長や根腐れのリカバリーとして行う場合や、仔吹きを強制的にさせるためにも行う場合があります。
切断した上部は上部で挿し木で育てることができますし、下部の方は切断面から仔を吹かせて群生株として育てることができます。
ただし胴切りは植物の負担も大きいので、失敗すると枯らしてしまうこともあるので十分に準備をして行うようにしましょう。
ベアルート
土が洗い流されて根がむき出しの状態
現地球株のように自生地から輸入されてきた植物は、税関での植物検疫を通過するために根についた土が洗い流され根が整理された状態であることが多いです。
植物の輸出入の時はベアルートであることが多いので、現地球株などについて触れるときにこのワードをよく目にするかもしれません。
コーデックス・多肉園芸用語一覧【品種・通称・略語】
タコモノ
タコの足のように塊根から沢山伸びているユーフォルビア
種類が多いユーフォルビアの中でも、イネルミス(九頭竜)やゴルゴニス(金輪際)のように塊根部分からニョキニョキと枝が伸びる品種を総称して「タコモノ」と呼びます。
難物/なんぶつ
栽培するのが特に難しい品種
難物と呼ぶのに明確な基準はないのですが、明らかに剛健で育てやすい種に比べて、生育するのを保つのが難しい品種のことを難物と言います。
cv.
Cultivated Variety = 園芸品種
var.
varietas/variety = 変種
ssp
subsp = 亜種
hyb
hybrid = 交配種
CITES
Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora(絶滅の恐れのある野生動植物種の国際取引に関する条約):ワシントン条約
希少な動植物の輸出入を制限するための条約である「ワシントン条約」の正式名称の頭文字をとったのが「CITES/サイテス」です。
CITESでは絶滅の危険性や希少性の度合いによって「附属書Ⅰ~Ⅲ」の3段階で分類していて、附属書Ⅰ(CITESⅠ)は最も規制の度合いが高く、商業目的のための取引が禁止されています。
CITESは約3年ごとに更新されるので、現在は特に問題なく輸入できている品種でも、いつ自由に輸入できなくなるかわかりません。