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コーデックスの栽培知識

パキポディウムを種から育てるコツ【種子の購入~発芽まで】

パキポ

数あるコーデックスの中でも私が最も好きなのが「パキポディウム/Pachypodium」で、これまでに最も数多く種を蒔いたコーデックスでもあります。

ここでは私が思う「パキポディウムの実生栽培のコツ」について、完全に個人的な体験ベースの記録として残したいと思います。

私自身が後々どのような方法が一番自分に合っているのか、また他の人にどうやってパキポディウムに実生栽培を行っているかを尋ねられた時にこのページだけを伝えればいいようにしたいと思います。

腰水の方法やメリット、種子のカビ対策に使う薬品などは当サイトの「コーデックスの栽培知識」のカテゴリーでそれぞれ詳しく書いてますので割愛します。詳細はそちらをご覧ください。

パキポディウムの実生栽培の段階について

実生栽培を考えるうえで、私は実生栽培は「種子購入~発芽まで」と「発芽後の生育管理」の2部に分かれると思っています。

そしてそれぞれのフェーズ(段階)で気になるであろうポイントは、箇条書きにすると以下のような感じになるでしょうか。

種子購入~発芽まで
  • どこで種子を購入すればいいのか
  • 種子をまくうえでのポイント(用土・鉢・気温・湿度・時期・管理方法)
  • 種子がカビてしまう問題
発芽後の生育管理
  • 発芽したらいつまで腰水管理をすべきか
  • 徒長しないためのポイント
  • 植え替えのタイミング(発芽用用土→育成用用土への変更)
  • 屋外管理に移すタイミング
  • おすすめの育成用土の作り方
  • 水やり、肥料をあげる時のコツやタイミング
  • 太らせ方のポイント

当然、ずっと育てていけば「受粉の方法」だったり「接ぎ木の方法」だったりも入ってくるのでしょうが、まずは基本的なところで言えば

どうやって種をまいて発芽させて、どうやって大きくするか

という所ですよね。一番シンプル。

そこでまず初心者が一番難しいと感じるのが「発芽させるまで」だと思うので、本記事では種子購入から発芽までのポイントを、私が実際に行っている方法をベースにご紹介します。

パキポディウムの種子の購入~発芽まで

まずは「どうやって種をまいて発芽させるか」という段階についてですが、私がここで考えるポイントは下記の通りです。

パキポディウムの播種~発芽のポイント

・種子はとにかく鮮度が命!鮮度が良ければ大体発芽する
・室温&湿度が条件を満たせていれば発芽する
・パキポディウムは好光性種子なので覆土はしない
・播種前にメネデール&殺菌剤(オーソサイド)の希釈水に半日浸水
・パキポディウムはカビ対策必須、カビた種子はすぐに破棄
・容器は腰水管理ができるものを用意
・種まき用土は「保水力・無菌・根がもぐりやすいもの」

パキポディウムの種子の鮮度について

パキポディウムの種子
これはどの植物にも言えますが、種子の鮮度が良ければ必然的に発芽率も高くなりますし、発芽後の生育状態も良好なものが多いです。

できるだけ鮮度がいい種子を手に入れるのが一番大切なポイントと言っても過言ではありません。

種子を購入する場合は、

①販売元で発芽確認は行われているか
②自家採取か、国内購入か、国外から輸入している種子かどうか

の2点がはっきりしていると信頼しやすいですね。

私個人としてはパキポディウムに関しては、ほぼ「seedstock」さんかドイツの「Koehres」から輸入のどちらかです。発芽率も良いですし、取り扱ってる種類も豊富。

種子の購入に関してはこちらもどうぞ

パキポディウムの種子
コーデックスの種子の販売サイトまとめコーデックスの実生栽培を行うにあたって、最初にするのが「種子の入手」です。コーデックスの種子を販売しているサイトは限られているので、本記事では代表的なサイトをいくつかご紹介いたします。...

発芽に適した温度・湿度について

これはお住まいの地域や種まきの時期によって違ってくるので、条件によって正解は異なりますし、パキポディウムの品種によっても発芽条件になる温度などが変わってきます。

私は「腰水管理で蓋をして5日程度湿度MAXで管理」を基本に、室温が20℃~25℃あれば大体元気な種子は2~3日で発芽すると思います。(※ただし、バロニーやウィンゾリーはちょっと条件が異なる気がしています)

日中25℃位になる場所でも、夜間10度くらいまで下がるのでは発芽にかかる時間も長くなり、その分高湿度環境にし続けると一気に種子がカビてくるのが難しい所だと思います。

ある程度の室温を確保できればそこまで難しくなく発芽させられると思いますが、パキポディウムの発芽に適した条件が揃っていないと、カビ・徒長・未発芽などの問題が出てきやすいです。

①昼夜の安定した室温(20~25℃)がキープできること
②腰水管理で蓋をして湿度を高く保ったまま発芽を待つ

腰水管理って何?という方はこちら

腰水
腰水(こしみず)とは?腰水管理のメリットと注意点についてコーデックスの実生栽培を行うときに、種をまいて腰水管理にすることがありますが、腰水についてよくわからないという人のために、腰水管理をする時の注意点やメリットについてまとめます。...

パキポディウムは好光性種子なので覆土は不要

播種
※種子は表土(バーミキュライト)に軽く載せるだけ

私も最初の頃は「植物の種を土の中に埋めないって意味が分からない」と思ってたんですが、パキポディウムのような好光性種子は湿った土の上にのせておくだけの方が光を感じて発芽をして、自分から根を伸ばして土に潜っていきます。

ただ、当然土の上に置くだけなので腰水をしていなかったり、容器に蓋をしていなければ種子が乾燥してしまって発芽しなくなります。

あくまで「土の上に種子をのせるだけ」で発芽するのは、容器内の湿度が高く保たれている場合の話なので乾燥には注意しましょう。

パキポディウムの種子のカビ対策について

パキポディウムのカビ
※糸状菌に侵されたパキポの種子

パキポディウムの種子は、とにかく糸状菌という白い糸のようなカビ菌に侵されやすいのが特徴で、殺菌剤を使わないと結構な割合でカビが発生してしまいます。

発芽させるために高温・高湿度を保つ必要があるのですが、その環境はカビ菌にとっても発芽しやすい環境なので、カビを発生させずに発芽させるのが一番難しい所かもしれません。

使っている殺菌剤はオーソサイドやダコニールです。パキポの播種をするならあった方がいいです。

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ベンレート
※小さなケースで殺菌剤の希釈水にパキポの種子を浸水中

半日ほど容器の中で浸水させたパキポの種子は、表土に載せ腰水管理するのですが、私は種子を浸水させるときに使った殺菌剤の希釈水は腰水の中に入れてしまっています。

①種子をまく前に、殺菌剤の希釈液に半日浸す
②種子を浸水させていた殺菌剤の希釈水は腰水の中に入れてしまう
③播種後も数日おきに殺菌剤をスプレーする
④ある程度発芽した種子が出そろったら、蓋を外して通気性を確保する

私は上記のようにしていますが、それでも発芽する力のない種子はカビてしまいますので、パキポディウムに関してはある程度は仕方がないと思っています。

一度カビが発生してしまった種子は発芽する可能性ががっくりと落ちますので、速やかに撤去してしまった方がいいでしょう。勿体ないですけど。

カビ対策に関するより詳しい解説はこちら

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種まき用土について

私は「この土の方がパキポディウムの発芽率が良い」というものはないと思っています。

それよりも「長期間腰水管理してもカビにくい土」「発芽後に根がもぐりやすい土」「水切れを起こしにくく保水性の高い土」なんかをポイントに土を選んでいます。

使わない方がいいのは「虫が混入している可能性のある畑の土」「油粕や堆肥などの有機肥料入りの土」など、室内で発芽管理中に虫やカビを大発生させてしまう可能性のある土選びはやめましょう。

①土は「硬質赤玉土&バーミキュライト」を1:1
②表土にはバーミキュライトのみを1㎝位の厚さで敷く
③播種前に熱湯を注いで消毒する

私が種まき用の用土に使うのは「硬質赤玉土」と「バーミキュライト」を同量ずつ混ぜたもので、根が潜り込みやすいように表土にはバーミキュライトのみを薄く敷いています。

※バーミキュライトって何?という人はこちらもご覧ください。

vermiculite
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熱湯消毒
※画像にはゴールデン粒状培養土も映っていますが、以前はこれを表土にしていましたが現在は硬質赤玉土とバーミキュライトのみです。画像は熱湯消毒の参考に。

いずれも肥料成分は無いのでカビの発生の心配はありませんし、熱湯消毒をすれば殺菌もできるのでヤカンでお湯を沸かして注いでしまいます。

ただこれはあくまで「種まき用」なので、発芽してある程度成長したら植え替えることを前提に作っています。

種子購入から発芽までのポイントまとめ

ポイントまとめ

できるだけ鮮度の高い種子(発芽確認が取れた種子)を用意する

播種前に殺菌剤の希釈液(&メネデール)に半日浸して殺菌

熱湯消毒した種まき用土の上に種をのせる(覆土しない)

腰水管理で容器に蓋をして発芽適温&高湿度を保つ

適宜殺菌剤の希釈水をスプレーしつつ、カビた種子は取り除く

ある程度発芽した種子が出そろったら、容器の蓋を外し通気性を確保する

発芽した芽が安定するまで腰水管理を続ける

以上が私が行ってる発芽までのプロセスです。

用土や容器の殺菌消毒はやる人はやるし、まったくやらない人もいます。私は念のため行っていますがこの辺は自由。選ぶ用土によっては殺菌をした方がいい場合もありますが、もしバーミキュライトなどの無菌の土を使う場合はやらなくても大丈夫だと思います。

腰水管理の時に蓋をするかどうかも分かれるようですが、種子が乾燥気味だと発芽率が悪い気がしてるので私は蓋をします。蓋をしない人は種子がカビてしまうのを嫌がっていることが多いのですが、私はそこを殺菌剤で対策してるので発芽を優先させて蓋をします。

ただ、バロニーとウィンゾリーは密封状態をやめて蓋を取り除いてからの方が発芽率が良い傾向があるので、もしかしたら蓋の有無による発芽への影響は品種によって違う可能性がありますね。

さいごに

パキポディウムの発芽管理は、慣れてきたらさほど難しくなく行えるようになると思います。

どのくらい発芽させられるかは「種子の鮮度ありき」ですが、この記事内でご紹介したポイントを参考にしていただければ初めての方でも少しは発芽率を高めることができるのではないかなと思います。

種子にカビ対策をして、安定した温度と高湿度環境で種子を乾燥させないようにしていれば数日で発芽すると思います。

以上、私個人の経験ベースでパキポディウムの発芽の方法をまとめてみました。

パキポディウム実生栽培アンケート

コーデックスアンケート
この記事の中でご紹介したのは私が実際に行っている方法ですが、私の方法が全てではないことが当サイトの企画「コーデックス実生栽培アンケート」をご覧いただけるとよくわかります。

既に実生栽培経験がある方は是非ご回答いただけると、これからパキポディウムの実生栽培を始めて見ようと思っている方には大変有益な情報となりますので是非お願いいたします!

回答結果の確認だけも可能なので、是非一度ご覧ください。

コーデックスアンケート
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