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コーデックスの栽培知識

コーデックス栽培における肥料の与え方|NPKのバランスとタイミングを考察する

肥料を与えるタイミング

コーデックスを栽培していて、枯らさずに1年を通して栽培できるようになれば、次に気になるのが「いかに大きく好みの形に仕立てるか」だったり「花を咲かせて種子の採取量をいかに増やすか」だったりしてきます。

そうなった時に大切になるポイントの一つに「肥料の与え方」がありますが、肥料はじゃぶじゃぶ与えれば雑菌が繁殖したり、徒長して軟弱な株になったり、葉ばかりが成長して全く花芽をつかなかったりと、過剰施肥による弊害がでることがあるので与えればいいってものではありません。

ただそうは言っても肥料成分について考えるとなると、化学の知識が強くかかわってくるので難しいですよね。

そこで、本記事では「私がコーデックス栽培で必要だと考える肥料の知識」について、できるだけわかりやすく必要な部分だけをかいつまんで解説してみたいと思います。

肥料の基本は「N・P・K」の3大要素

ホームセンターなどで売っている化成肥料(複合肥料)をみると、肥料成分としてN(窒素)P(リン酸)K(カリ)の3つの比率で書かれていることが多いと思います。

実際はこの3大要素以外に、多量要素としてCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム:苦土)、S(硫黄)があり、その他微量要素(鉄、マンガン、亜鉛など)もあるので、単純にNPKだけで植物の成長について理解できるわけではありません。

ただ全てに触れるとややこしいので、とりあえずNPKに絞って説明します。

N(窒素)通称「葉肥(はごえ)」。植物の成長に最も大きくかかわる栄養素で、茎や葉の成長に関わる。過剰にあると、徒長、病害虫の被害を受けやすくなるなど軟弱な株になる。植物に吸収されにくく流亡しやすい。
P(リン酸)通称「花肥(はなごえ)」「実肥(みごえ)」。開花や結実、分けつ、根の伸長などに関係する。過剰にあると微量要素の吸収阻害などが起きるが、そもそも植物が吸収できる量が限られているのでリン酸自体の過剰症は起きにくい。ただし土壌に固着するので追肥はそんなに必要なく、基本的に元肥でまかなう
K(カリ)通称「根肥(ねごえ)」。根の成長や光合成などに関係する。植物を丈夫にし、耐寒・耐暑性、耐病害虫を高める。過剰にあると微量要素(Ca,Mg)の吸収阻害が起きるが、水溶性で灌水により流亡しやすいので普通に栽培していれば過剰症は出にくい。

とりあえず3大要素の特徴は上記の表の通りです。(※私の理解に基づいて書いている部分が多いので、認識の違いがあればご容赦ください)

施肥(せひ)において肥料分のバランスや与えるタイミングが大切で、一方が多いと拮抗作用が働いて他方が欠乏したりします。

リービッヒの最小律」や「ドベネックの桶」という言葉を耳にしたことがある人もいるかもしれませんが、それぞれの肥料分に、水、日光、空気などの環境要因も含めたなかで、最も不足しているものに植物の成長や収穫は左右されると言われています。

例えば、窒素(N)を沢山与えてもリン酸(P)が極端に不足していれば、リン酸(P)が欠乏している影響が強く出て植物は足りない栄養素(Pの欠乏)の方に成長度合いが引っ張られてしまうというわけですね。

だからバランスが大事なわけです。

複合肥料の数値の見方|高度化成と普通(低度)化成

HYPONEX
例えば上の写真のハイポネックス原液には「6-10-5」と書いていますが、これは製品100g中に窒素が6g、リン酸が10g、カリが5g入っていますという事を示しています。

100g換算なのでパーセンテージで表しても同じなのですが、これらの数値の合計が30%を超えるものを「高度化成30%未満のものを「普通(低度)化成と呼びます。

ハイポネックス原液の場合は、21(6+10+5)なので普通(低度)化成という事になりますね。

高度化成は成分量が多いので少量の施肥で広範囲に効果が出ますが、普通(低度)化成との違いはそんな単純な違いだけではなく、使われている原料が異なるというのがポイントです。

例えば高度化成に使われてる窒素肥料の原料は副成分の少ない「リン安」や「尿素」であることが多いですが、普通(低度)化成の場合は「硫安」が原料のことが多いので、必須要素のひとつである「S(硫黄)」も副成分として含まれていることになります。

少量で沢山効く高度化成の方が優れているというわけではないことに注意しつつ、化成肥料を選ぶ場合は、それぞれの肥料分の原料には何が使われているのかまで見ることができるとなお良しですね!

P(リン酸)はマグァンプKを元肥として使えば十分

マグァンプ
一般的に植物の生育の初期段階で必要なのはN(窒素)とP(リン酸)だと言われています。

その中でもP(リン酸)は流亡しにくいので、元肥でその鉢内の必要分をまかなってしまうことがほとんどです。

緩効性の化成肥料であるマグァンプKはN-P-Kが「6:40:6」ですが、マグァンプKのように元肥に使われる肥料にリン酸分が多いのはそのせいです。

マグァンプKはK(カリ)の過剰によって欠乏しやすいMg(マグネシウム)も15%入っていますし、植物が直接肥料に触れても肥料焼けしないのでとても使いやすくおすすめ。

個人的にはP(リン酸)に関してはマグァンプKを鉢内に混ぜ込んでおけばOKという認識でいます。

マグァンプK 中粒 250g
ハイポネックス

N(窒素)は必要だけど過剰症に注意しよう!

植物の成長に必要な栄養素の中で最も重要なのが「N(窒素)」です。

植物を大きくする働きがあり、とりわけ実生の初期段階で株がまだ小さい時に必要な栄養素なのですが、窒素肥料は土壌中の細菌(硝化菌)によってNH₄⁺(アンモニウムイオン)をNO₃⁻(硝酸イオン)にすることで植物に吸収されるので、常にマイナスに帯電している植物の根には吸収されにくく流亡しやすいことを、以前ゼオライトの記事でも触れました。

ゼオライト
植物を太く肥大させるのにゼオライトがおすすめな理由【個人的見解】コーデックスの実生栽培をしていて、大きく太らせるにはどうしたらいいのかと日々試行錯誤していますが、園芸愛好家さんで特に実生をメインでやら...

ゼオライトを使う事で、窒素肥料が効率よく植物に吸収されるようになるよ!という内容なんですが、窒素はあったらあったで過剰症にも注意が必要なんですね。

特にある程度大きくなってきてからの窒素過多の弊害としては、

  • 病害虫に弱くなる
  • 徒長するなど軟弱な株になる
  • 葉色が濃くなる、葉ばかりが成長する
  • 花や実をつけにくくなる

など上記のような特徴が挙げられます。

窒素過多の状態になると植物は肥料の栄養分で成長を支えられ、苦なく大きくなることができるので、その分周囲の環境に対する抵抗が衰えていきます。

園芸品種とはいえ植物は元々野生の植物なので、生存戦略として適切な時期に花をつけ、受粉をして種子を飛ばし、寒くなる前に休眠状態に入るのが自然なサイクルですよね。

しかし、常に豊富にある窒素肥料はその植物本来の「生存本能」を鈍らせるので、窒素が過剰にあると花を咲かせにくくなり、種子も採れなくなります。

つまり超甘やかされて育つので、生き残るという当たり前の危機感を持たなくなってしまって貧弱な株になってしまうわけです。窒素を沢山あげると葉を茂らせて一見元気なように見えますが、メチャくちゃストレスに弱い温室育ちの子が出来上がってしまうわけですね。

だからあえて窒素分を制限して育てて、葉をあまりつけないように仕立てる園芸家さんもいると思いますが、それは育て方が悪いから葉が少ないのではないという事も念頭に置いておきましょう。

とりわけ塊根のフォルムや成長を楽しむコーデックスにおいては、「葉が茂ってるのは必ずしも良い株であるというわけではない」という事です!

冬越しなど環境の変化に耐えられる株にするにはK(カリ)が大切

ここまでにP(リン酸)は最初に1年分の肥料を元肥としてマグァンプK、N(窒素)は株が小さいうちに与えるけど限度を超えて与え過ぎると花もつけないし軟弱になると書きました。

そして冬越しなどの耐寒性などに影響するのがK(カリ)なので、私は1年間を通して夏型のコーデックスの実生株を育てる時の施肥のタイミングは冒頭のアイキャッチ画像に使った下記のグラフのようにしています。

肥料を与えるタイミング
イメージとしては、P(リン酸)は最初に元肥として使って、休眠から目覚めた株や春先に播種して発芽した幼苗には窒素分の多い液肥を与え、秋に近づくにつれてカリ分の多い液肥に切り替えるという感じです。

窒素分の多い液肥はこの「ハイポネックス ハイグレード観葉植物」(※N-P-K=7:4:4)

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カリ分の多い液肥には「ハイポネックス 微粉」(※N-P-K=6.5:6:19)

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それぞれのおすすめの肥料は上記の2つですね!春夏の液肥に関してはバランス型の肥料でもいいかもしれません。(※私は基本的にハイポネックス原液を使ってます)

K(カリ)は過剰になると、マグネシウムやカルシウムの吸収を阻害してしまうので注意が必要ですが、K(カリ)は水溶性で灌水の度に効果が流亡しやすいことと、元肥として使っているマグァンプKにマグネシウムが含まれてることから余程でない限り欠乏症になることはないと思っています。(※カルシウムに関してはより注意が必要)

丈夫な株に育てるためにカリを増やす場合は、念のため過剰症によるマグネシウムとカルシウムの欠乏に注意するようにしましょう。

まとめ

肥料に関しては植物の生育に関与する要素として大切であることは間違いありませんが、正直ここで書いたほどシンプルな話ではないと思っています。

極力かいつまんで解説しましたが、私自身も上手く肥料を使えているか自信はありませんし、リービッヒの最小律の話でも触れた通り肥料以外の要素も大きくかかわってくるので「こうすれば誰でもうまくいく」という施肥の方法やタイミングはないでしょう。

今回ご紹介したのは私自身の施肥に関する考え方なので、これが正解というわけではありません。

ただ、各肥料分の特徴や、欠乏症&過剰症、他の栄養素に対する拮抗作用などを理解しておけば、生育過程で何らかの異常が出た場合にも「この肥料分が多すぎるせいかな?」などと予測をつけることができます。

特に花をつけて種子を採取したい場合は、窒素肥料をあげ過ぎないようにするなど前もって注意することができるので、ざっくりとした内容ですが知っていて損はないと思います。

本記事で紹介した以外の園芸用肥料の商品については下の別記事でまとめていますので、自分の目的に合った比率の複合肥料を探してみてくださいね!

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