※本ページにはプロモーション(広告)が含まれています

コーデックスの栽培知識

コーデックスの種をまく時のポイント|発芽に関する基礎知識

コーデックス実生

コーデックスを種から育てる手順の中で、本記事では「種まき時のポイント」について解説します。

コーデックスの種子は普通の草花や野菜の種と比べると高価な部類に入りますし、「できるだけ無駄にしたくない」と考えて慎重になりますよね。

私自身はプロの園芸家でもコーデックスの専門家でもなく、大好きなトゲトゲの植物たちを育てる楽しさに魅了されて種を蒔きまくった、ひとりの素人園芸家です。

ただ、失敗をあまり気にせず種をまいた経験と、過去に化学分野にいた経歴や元来の凝り性な性格、試行錯誤を繰り返したり色々な方の栽培方法を研究してきたことから、結果的にかなりの数の実生株を育成することに成功しました。

本サイトでご紹介する内容は、「あくまで私自身の栽培方法であって必ずしも正解ではない」という前提のもとに、ご自身のコーデックス栽培の参考にしていただければと思います。(※ここでご紹介する方法は発芽を確証するものではないので、1つの例としてご覧ください。)

コーデックスの種をまく

コーデックス実生
私はバオバブなど種の一部を削るなど特殊な加工が必要な品種やチレコドンのような微細種子と呼ばれるものすごく細かい種子以外は、だいたい同じ方法で種まきをしています。

種まきをする時に発芽に関係する要素としては、下記の5つがあると思います。

発芽に関係する要素

1.気温・室温(種まき適期かどうか)
2.湿度
3.カビやすさ
4.好光性・嫌光性などの特徴
5.種の鮮度

気温・室温

気温や室温に関しては、コーデックスの品種によって「夏型」や「冬型」など、生長する時期に特徴があり、それぞれ適した種まきの時期があります。

例えば夏型のコーデックスの場合は、昼夜の寒暖差が小さくなった4~5月ごろにまけば発芽しやすいですし、冬型の場合は秋にまくと良いでしょう。

播種適期ではなくても環境が整えば発芽自体は可能です。ただし、無理やり発芽させても、発芽後の生育が思わしくないことが多かったので、できるだけその植物の成長サイクルに合わせたスケジュールを組んだ方がいいでしょう。

私の例ですが、東北の寒い地域に住んでいて3月上旬に室内でパキポディウムの播種を行い、ヒーターによる加温で発芽はしてくれましたが、温度をキープするために密封する必要があり、通気性の悪化と長期間の高湿度環境での栽培でほとんどが徒長してしまいました。

徒長は「日光不足・風通しの悪さ、水や肥料のあげ過ぎ」で起こると言われています。

徒長
植物が徒長してしまう原因と対策|腰水をやめるタイミングでっぷりと太った見た目が魅力的なコーデックスですが、栽培環境によってはひょろっと細長く「徒長」してしまう場合があります。本記事では徒長してしまう原因と対策について解説いたします。...

加温するために密封してヒーティングすれば発芽させることは出来るけど、本来の種まき適期に無理なく適温を保てる方が発芽後の生育も良いと思います。

下記は論文の引用ですが、発芽するかしないかよりも、発芽後の生育に関係するので種まきの時期は大事にした方がいいよ~という内容でとても腹に落ちます。

種子が発芽する季節や場所の決定は,個体および種の存続を大きく左右する重要な選択である。種子は高温や低温,乾燥などのストレスに対して強い耐性を持ち,生育に不適な
環境(時)を乗り越えて成長を再開することを可能にしている。また,単に発芽に適切な条件で発芽するのではなく,発芽後の生育に適した季節に成長を再開する能力を持つ。

種子の休眠・発芽と温度 – 発芽調節メカニズムの解明を目指して 川上

湿度

湿度もとても大事で、種まき前に半日ほど種を浸水して水を吸わせてからまくことが多いですが、播種後も腰水管理で蓋ができるような容器を使っています。

腰水
腰水(こしみず)とは?腰水管理のメリットと注意点についてコーデックスの実生栽培を行うときに、種をまいて腰水管理にすることがありますが、腰水についてよくわからないという人のために、腰水管理をする時の注意点やメリットについてまとめます。...

その理由としては、一度水を吸った種子が乾燥してしまうと発芽しにくくなる為で、腰水管理&フタによる加湿で種子から完全に水分が抜けるのを防ぐ&温度変化も小さくするという目的があります。

ここで問題になってくるのが、「カビやすさ」です。

腰水&フタでの密封管理は発芽率が上がるのですが、湿度がほぼ100%の状態になるので容器や用土、及び種子の殺菌が不十分だと種がカビてしまう事も少なくありません。

このカビを嫌って密封をせず通気性を保ったまま発芽させる人もいますが、その場合はこまめに霧吹きで表土や種子が乾かないように注意している方が多いと思います。

少し上でも触れましたが、容器・用土・種子を殺菌することでカビの発生を予防することができます。

カビやすさ

コーデックスを種から育てる一番の難関が「カビ」です。

発芽しやすい環境は「高温・多湿」なのですが、これがめちゃカビやすい!

私がこれまでに実生をした品種の中でも、特にカビやすいと感じているのが下の3つ。

種がカビやすい品種

・パキポディウム
・アガベ
・オペルクリカリア

勿論ほかにもカビやすい品種があると思いますが、私が実際に播種した中で感じたものを中心に挙げるとダントツでこの3つです。

パキポディウムのカビ
※パキポディウムの種子に発生した糸状菌(カビ)

特にパキポディウムのカビやすさは種自体の鮮度が関係してると思います。水を吸わせてどれだけ薬剤で殺菌をしても1割程度はカビてしまうので、それらは元々発芽する力の無かった弱い種のような気がします。

オペルクリカリアは種子の周囲に果肉が付いているタイプの種子なので、水でふやかした後に果肉をすべて取り除くことで予防は出来ますが、そのまま植えてしまうと果肉が腐ってカビやすいようです。

上記3品種を種から育てる場合は、是非カビ対策の記事もあわせてご覧ください。

パキポディウムのカビ
コーデックスの種のカビ対策|種まき用土と種子の殺菌処理の方法コーデックスを種から育てるときのポイントに上がるのが「カビ対策」です。 パキポディウムやアガベ、オペルクリカリアなどはカビやすいの...

好光性・嫌光性などの特徴

種の特徴として、発芽時に光を好むか好まないかという品種ごとに異なる性質があります。

この違いは種を蒔くときに「覆土するかどうか」にかかってくるので、播種する品種が好光性なのか嫌光性なのか知ることは大切なポイントの一つになります。

ただし、確実に「この品種は好光性種子」などと確実に分かることは少ないうえに「どちらでもない」という事も少なくないので、他の方がどのようにして発芽させているのか、覆土しているのかしていないのかを観察して真似してみると良いでしょう。

ちなみに、私が育てている品種で「パキポディウム」「アガベ」「アデニウム」は(どちらかというと)好光性、「オペルクリカリア」はどちらでもない or やや嫌光性かなと思います。

パキポディウムの種
※パキポディウムの種は上の写真のように表土の上にのせるだけでOK

好光性よりのパキポディウムを土の中に埋めてしまったら発芽しないかと言ったらそういうわけでもないのですが、あまり覆土を厚くすると発芽率が悪かったように思うので、私はパキポディウムを発芽させるときは土の上にのせるだけにしています。

パキポディウムの種
※発芽(発根)すると、根が伸びて土の中に潜っていきます

種の鮮度

実のところ、種子の発芽率に最も影響しているのは「鮮度」だと思います。

どんなに万全を尽くしても、購入した種子の鮮度や管理状態ががものすごく悪いものだった場合は、全く発芽しないという事もあります。

コーデックスの種子販売をしている業者さんはいくつかありますが、できれば国内のナーセリーさんで種子販売前に発芽確認をしているところだと安心できます。

一方で、海外から直接輸入する場合や海外から輸入した種子を転売しているような販売元の場合は注意した方がいいかもしれません。

基本は、下記の順で発芽率がいいように思います。(※左の方が発芽率が良い)

国内栽培家さんの自家採取 < 海外からの直輸入 < 海外輸入種子の転売

当サイトでも、私が良く購入するコーデックスの種子販売を行っているサイトをご紹介していますが、他にも「ここの種は発芽率良いよ!」という情報があれば教えていただきたいです!

種まき用土について

種まき用土
多分これっていう正解がないのが種まき用土。色々試してはいますが、土によって発芽率に影響があるかどうかよりも、「根がもぐりやすいか」「成長した後の植え替えがしやすいか」とか、種子の形状によっては「鉢底に流れてしまわないか」などをポイントに選ぶことが多いです。

私が大切にしているのは「無菌」&「無肥料」であること。

多くの場合で「赤玉土」と「バーミキュライト」を同じくらいの割合で混ぜたものをベースにして、表層はバーミキュライトのみを敷き詰めてその上に種をのせるようにしています。

表層をバーミキュライトにしてるのは、根がもぐれずコケたのがあればちょっと押し込めば根を傷めずに埋めることができるのと、無菌だから。

ただ、バーミキュライトのみだとある程度成長した時に、軽すぎて根を支えられなくなるから赤玉土を混ぜ込んでます。

あと、この私の種まき用土は結構早期に植え替えをする前提で作っています。

これだけバーミキュライトたっぷりだと保水性が高すぎて根腐れしやすい&徒長しやすいと考えるためで、播種から2か月くらいで植え替えることが多いですね。

土に関しては、私も試行錯誤中なのでこればかりはもっと回数をこなしている、ナーセリーさんの意見とかを参考にすると良いかもしれません。あくまで私の場合はこんな感じです。

最初の方でも触れていますが、種まき前に用土も殺菌しているので、その方法については「カビ対策」の方でご覧ください。

まとめ

ざっとですがコーデックスを種から育てるときに注意すべきポイントをまとめました。

私自身も当初はあまり用土殺菌や殺菌剤の使用、種子の浸水などを行っていませんでしたが、育てれば育てるほど「しっかりやった方が種子のロスが少ない」という事を身に染みて理解するようになりました。

工程が多くて面倒くさいように感じますが、慣れてしまえばスムーズに行えるようになりますし、何より発芽した時の喜びも倍増なのでぜひ手をかけて発芽にチャレンジしてみてくださいね。

まだ種子を購入していない方はこちらの記事もどうぞ

パキポディウムの種子
コーデックスの種子の販売サイトまとめコーデックスの実生栽培を行うにあたって、最初にするのが「種子の入手」です。コーデックスの種子を販売しているサイトは限られているので、本記事では代表的なサイトをいくつかご紹介いたします。...