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コーデックスの栽培知識

硬実種子(こうじつしゅし)を発芽させる方法|発芽しにくい硬い殻を持った種子対策

硬実種子

こんにちは!金成コーデックスです!

私は塵のように細かい種子からビー玉サイズの大きな種子まで色々実生してきましたが、個人的には「硬実種子(こうじつしゅし)」と呼ばれる種類の発芽にとても苦労します。

それもそのはず、それらの種子は発芽しにくいようにできているので水に浸けただけではなかなか発芽してくれないんですよね。

そこで本記事では「硬実種子とは何?」という所から、発芽させるための対策などについて簡単にご紹介していきたいと思います。

硬実種子(こうじつしゅし)ってどんな種子?

硬実種子
硬実種子は、その名前だけを聞くと「硬い実(殻)を持った種子」という印象をもちますが、実はちょっと違うんです。

硬実種子とは「外皮が水を通しにくくできている(透水性が無い)ので水分が吸収されにくく、発芽のスイッチが入りにくい種子」のこと。

そのままの状態は休眠状態にあるので、何かしら処理を施さなくては発芽まで時間がかかります。

コーデックスで硬実種子とされるものの中で、私が実際に発芽させるための処理を行ったものは「オペルクリカリア」と「ペラルゴニウム」の2種類です。(※硬実種子の種類自体は他にもあります)

なぜ発芽しにくい硬実種子が存在するのか

その辺にパラパラ蒔けば放っておいても発芽しやすい種子もありますが、発芽しにくい硬実種子が存在するのも植物の生存率をあげるための工夫と言われています。

地上におちた種子が一斉に発芽をした場合、その後の天候や環境が幼苗の生育に適さなければひとつ残らず全滅してしまいます。(※例えば発芽後に長期間雨が降らないとか、急激な気温の変化があったなど)

そのため、あえて発芽のタイミングに差が出るように、発芽しにくい硬実種子のような生存戦略をとる植物があるんですね。面白い。

後ほど例に出しますが、私が実生栽培しているペラルゴニウム・トリステも最初の種子が発芽し、その4~5日後に2つ目が発芽、そしてその2週間後に3つ目が発芽するなど、ばらばらのタイミングで発芽を始めていました。

ペラルゴニウムトリステ
Pelargonium triste / ペラルゴニウム・トリステの育て方【実生栽培記録】どっしりした塊根がカッコいい人気の冬型コーデックス「Pelargonium triste / ペラルゴニウム・トリステ」の実生栽培記録です。種子の発芽管理から成長の過程を随時更新しながら記録します。...

ただ、発芽していない種子の状態は決して悪いものではなく、本当にただ発芽のスイッチが入っていないだけという感じ。

何らかの処理がされないと休眠状態で発芽のスイッチが入るのを待っているというのがよくわかります。

硬実種子の処理「硬実処理(こうじつしょり)」の方法

硬実種子の処理のことを「硬実処理(こうじつしょり)」とも言うそうですが、一般的に効果がみられるとされている方法には以下のようなものがあります。

①水に長時間浸水させる
②ヤスリ、カッター、爪切りなどで外殻に傷をつける
③熱を加える高温処理
④高周波、超音波に当てる
⑤有機溶媒や硫酸などによる化学的処理

ただ、いずれも小さくはないデメリットがあることと、一般の家庭では実施するのが難しい方法もありますよね。

この中でも私が実際に行ったのが、①、②、⑤ですが、今回は特に②の「外殻に傷をつける方法」と⑤の「化学的処理」についてご紹介します。

キッチンハイターなどの塩素系漂白剤を使う化学的処理

順番が前後しますが、まずは「化学的処理」の方法から。

濃硫酸などは家庭でつかう薬剤としては難しいので、どこの家庭にもあるキッチンハイターなどの塩素系漂白剤を使う事で同様の効果を得られます。

私はオペルクリカリア・パキプスの種子に対して、ハイターの原液に25分ほど浸して外殻をやや溶かすように使いました。

パキプスの種子
個人的な感想ですが、この方法は丸い形状で全体的にかなり分厚い外殻を持った種子に使った方がいいように感じます。後述しますが、ペラルゴニウムの種子などは子葉になる部分と根になる部分がわかりやすい形状をしていて、根になる部分をあまり傷つけたくないので私はこの方法はペラルゴニウムの種子には使いません。

またデメリットもあります。

あまり長時間ハイターなどの原液に浸水すると、内部の胚の部分にも影響を与えてしまいますので、浸水時間はパキプスの場合では30分未満にしたほうがいいと教えてもらいました。

時間調節に気を使うのと、どの程度内部にまで侵食しているのかわからないのでそこが難しいポイントだと思います。

外殻を物理的に傷つける方法

パキプスの種子
最も簡単なのが外殻をヤスリやナイフなどで物理的に傷つけることで水を染み込みやすくさせる方法です。

この方法はとても簡単なのですが、根の成長にあたる部分を傷つけないように種子の発芽に関する位置をある程度把握している必要があります。子葉の成長にあたるところであれば多少は傷ついても問題ないですが、削りすぎないように注意する必要があります。

私はハイターなどを使いにくい比較的外皮が薄くて根にあたる部分がわかりやすいペラルゴニウムの種子に対してこの方法を使っています。

ペラルゴニウムトリステの種子
※子葉になる側の外皮をちょっとだけカッターで削りました

この方法のデメリットとしては、削りすぎることによる破損もありますが、想定外のところから子葉がが伸びてその後の生育がうまくいかない例もあるそうです。(※これは野菜の種子の話ですが、コーデックスの場合にも共通している可能性は大いにあると思います)

果被を除去することによって発芽を改良する方法は、果被を完全に取り除いているため、種子によっては発芽性能は非常に良い反面、胚の保護といった果被が負うべき本来の機能も取り除かれているために、立ち枯れ等、その後の生育に問題を生じるケースが多々見られ、実用上難があるのが現状である。また、機械的方法では、果被を均一に脆弱化することは難しい。このため、果被の脆弱化が均一でない種子を発芽させると、一部脆弱化された箇所から、子葉が先に突出するといった異常発芽を生じることがあり、発芽の均一性が乱れる原因となる。

硬実種子の発芽改良方法

個人的には子葉が出やすくなるほどの大きな穴というよりは、吸水しやすくなるくらいの傷をつけるイメージでやっていますが、本来であれば均一に外皮を脆弱化させた方が良いらしいです。

追記(2021/5/14):硬実処理をしてから2日で動きが無かったトリステの種子に動きが!


カッターで子葉側を傷つけてからわずか二日、ちょっと気になって掘り起こしてみたら1つ発芽を開始して白い根が出ていました。

それ以外にも明らかに吸水を開始したと思われる種子がいくつかあったので、ペラルゴニウムの発芽管理に苦戦している方は、硬実処理を試してみると良いかも!

ただし、何度も書きますがデメリットもありますので自己責任でお願いいたします♪

まとめ

硬実種子についてのまとめ

・硬実種子は、外皮が硬い種子のことではなく透水性が無く自然環境下では休眠状態のようになっている種子
・硬実種子の処理にはいくつかの方法があり、それぞれのデメリットをよく理解しておく必要がある
・化学的処理は塩素系漂白剤が便利。ただし浸水時間に注意
・物理的処理はヤスリやカッターで傷つける。根が出る部分は避けた方が良い

本記事では硬実種子についてまとめました。

植物の生存戦略としての形の1つではありますが、実生栽培をする上ではなかなか厄介なのでそれを打破するような方法が、各植物ごとに情報としてあると便利だと思います。

私が実際に栽培しているパキプスやペラルゴニウム各種以外にも、「硬実種子の処理でこういうのが効果的だったよ」なんていう体験談がございましたら是非教えてください♪