こんにちは、金成コーデックスです。
我が家では10月後半から冬越しに向けて完全室内での栽培に切り替えましたが、全ての鉢を室内の温室に入れることができないので、以下の3パターンの環境で栽培しています。
- 廊下(日当たりは午前中のみ/室温3~10℃)
- 簡易温室(ピンクのLED照明約12時間/室温10℃~23℃/空気循環なし)
- ガラス温室(高照度白色LED約12時間/温室内常時25℃以上/空気循環あり)
今回②と③の環境で、パキポディウムウィンゾリー(&バロニー)の生育状況に差が出てきたのでまとめたいと思います。
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室内栽培環境の比較
今回比較するのはパキポディウムウィンゾリーで、栽培条件としては「肥料をあげる頻度・光をあてる時間・LEDライトから植物までの距離」は両方同じ。また、種をまいた時から野外管理(10月まで)の約半年間の栽培環境は全く同じです。
今回、冬越しの環境で室内簡易温室(シルバーラックの周囲をビニールシートで覆ったもの)とピカコーポレーションの室内ガラス温室とで栽培環境を分けたのは、単純にガラス温室に置ける鉢数に制限があったこともありますが、冬季の栽培環境によって成長度合いに差が生まれるのか知りたかったので実験的に分けてみました。
両者の栽培環境の違いは以下の通り。
- 植物育成用LEDライト(ピンク色の光)300W
- 日中室温22~23℃、夜間10~15℃
- ファンによる換気は無し
- 水やり頻度は週1回程度
- 植物育成用LEDライト(白色)400W
- 温室内温度常時25℃以上(Max29℃)
- ファンによる換気あり(24時間)
- 水やり頻度は3日に1回程度
簡易温室やガラス温室のより詳しい情報を知りたい場合は、下記の関連記事をそれぞれご覧ください。
この2つの栽培環境でウィンゾリーのサイズが結構変わってきたんです。
室内温室のウィンゾリーとガラス温室のウィンゾリー
写真で2つのウィンゾリーを比較する
上の写真が室内簡易温室で栽培したウィンゾリー(右)とガラス温室で栽培したウィンゾリー(左)です。
圧倒的にガラス温室で栽培したウィンゾリー(左)は太くてゴツイ。
写真じゃ伝わりにくいかもしれませんが、一番違うのは「トゲの太さ」と「幹のハリ」と「葉の厚さ」の3つ。
ガラス温室で栽培した方は、トゲ間が埋まっていてそれぞれのトゲも太い。尚且つ葉がうねって色も濃く厚みがあります。
正直、ガラス温室栽培のウィンゾリーは「葉焼け上等!!」という感じで、かなり高照度で放熱性があって熱くなるLEDライトを使ってガンガン光を当てているので、葉が赤と緑のまだら模様のようになっています。
※葉の一部がまだらに赤くなっているガラス温室ウィンゾリー
ただこの環境に慣れたのか、葉が枯れて落ちるというわけではなく、ただ「色が赤くなる」という現象のみで、植物本体はかなりごつく成長していきました。
ウィンゾリーだけではなく、同じようにバロニーも育てていますがほとんど同じような成長の違いを見せています。
※ガラス温室のバロニーも同じように太くなっている
※このウィンゾリーのLEDとの距離は、ドルステニア(ギガス・ホルウッディ・フォエチダ)ではすべて葉焼けを起こして葉が枯れ落ちるレベルで、ウィンゾリーが耐えられたのはたまたま暑さや高照度の光に強かっただけかもしれません。すべてのタイプのパキポに可能な照度と温度かどうかは不明です。
何でここまで成長度合いに差がついたのか?
前述の栽培環境の比較ではいくつも違いがありましたが、結論として成長に差を生んだのは「高温・高照度で24時間風があたる環境が、急速に用土を乾かして夏と同じくらいの高頻度での水やりが可能だったから」だと思います。
そりゃ水やりの頻度が多ければ植物は生長するだろうよと思うと思いますが、実はもう一つ実験をしていて、同じガラス温室内でLEDの距離が近い株(棚の上段)とLEDから遠い株(下段)でウィンゾリーの生育状態の比較をしてみました。
※左が温室上段、右が温室下段のウィンゾリー
同じガラス温室内なので水やりの頻度は同じなのですが、よりLEDに近くて風が強く当たる上段のウィンゾリー(左)の方が太いんですね。
葉も明らかに厚くて縮れてるのですが、おそらく同じペースで水やりをしててもより乾きやすく葉も部分的に乾燥するので縮れてしまうんだと思います。
※左の縮れている葉が温室上段、右が温室下段で育てたウィンゾリー
これらのことから、成長度合いの違いは純粋に水やりの頻度だけではなく、あたってる光の強さと風の強さ(※あと段の上段の方が2~3℃平均温度が高い)という条件の違いが影響してるのではないでしょうか。
正直言うと、簡易温室の環境はファンを入れて空気循環をするべきですし、やや徒長気味なのは中途半端に休眠をさせずに葉もつけたままなかなか土が乾かないで水やりの頻度も少ないというのが原因なので、どちらかというと通常に比べてやや貧弱な株と言えるかもしれません。
植物を太くゴツくしたいのであれば「光が強く当たり、風もよく当たって、温度も高い温室内で、土を早いサイクルで乾燥させて水やりを高頻度で行う」というのは間違いないと思うのですが、比較対象とした株がやや貧弱なので、「同じように室内で栽培していても環境条件によってこれだけ生育に違いが出る」という例として見ていただければと思います。
植物育成用LEDの違い|SMDチップとCOBチップ
私が使っている植物育成用LEDは2種類あって、今回の生育状態の違いはこのLEDライトの違いというのも比較的大きいと思っています。
<簡易温室のLED:SMD>
<ガラス温室のLED:COB>
SMDチップは、表面実装というタイプのLEDライトで、よくあるピンク色になるLEDライトが大体これです。
小さなLEDがハンダ付けされているので、沢山のLEDが並んでつけられているのですぐに判別できます。
このSMDと言われるタイプのLEDの特徴は、発熱しにくく、高照度を実現させるために小さなLEDを沢山並べる必要があるので、大体このLEDの個数で光の強さが決まります。
一方で、COB(チップオンボード)のLEDライトは、とにかく明るいのですが製造段階での手間が大きくて高価格になりやすいというデメリットと、放熱性が高いので熱くなりやすいという特徴があります。
我が家では放熱性が高いCOBはビニールを使った簡易温室には使えないので、必然的にCOBはガラス、熱を持ちにくいSMDは簡易温室での使用になりました。
結果、常時温められている温室の中でも、光が来る方から熱も来るというのが日光に近いのか、ガラス温室の上段のウィンゾリーが太く成長しているようにも思います。
この辺は300Wと400WのLEDライトで違いますし単純に比較はできませんが、植物を置く空間にある程度の広さがある(植物とLEDとの距離をとれる)場合は、COBのLEDライトを選ぶといいかもしれません。
放熱するので暖かいというのは、LEDライトは基本冬に使う事を考えると、ヒーターの代わりにもなるので一石二鳥という考え方もできますね。
まとめ
今回は我が家の室内栽培環境の違いでパキポディウム・ウィンゾリーの生育状況に差が出てきたので考えられる要因をまとめてみました。
一番は「強い光・高温をキープ・ファンで24時間空気循環」の3つを組み合わせることで、用土が早く乾き、水を与えるペースが真夏並みに多くなったというのが成長に差を与える要素かと思います。
育て方の上手な園芸家さんは徒長させずみっちりと塊根部の太ったパキポを育ててるので、栽培技術や知識がすごく大切だと日々実感します。
環境に恵まれない場合は、やっぱり温室の状況やLEDライトの性能などコストに頼らざるを得ない部分もあるので、お金をかけられない場合は冬は寝かせて、成長期にいっぱい太陽を浴びせるというのが順当なのかもしれませんね。
以上、我が家の室内栽培環境におけるパキポの成長比較でした。