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アガベ/Agave

アガベの耐寒性と耐寒温度一覧|USDA Hardiness zoneの区分と調べ方

アガベ

アガベの多くがメキシコ原産なので、耐暑性に関しては日本で栽培する場合は気にする必要がほとんどありませんが、耐寒温度(Hardy temperature)に関しては、自生地などの違いによって寒さに強い品種と弱い品種があります。

一般的にアガベは寒さに強いと言われていますが、自生地のメキシコとは湿度や降雪の有無などの違いがあるので、日本の冬の時期に野外に放置しても大丈夫かとは一概には言えません。

そこで、本記事では基本的な(自生地での)アガベの品種別の耐寒性についての考え方と、耐寒性の目安となるUSDA Hardiness zoneについてまとめたいと思います。

目安となるアガベの各品種の耐寒性については記事の後半で一覧表にしています。

植物の耐寒性の前にUSDA Hardiness Zoneを知ろう!

まずアガベの耐寒性を知りたいのは、「自分の住んでいる地域で冬季に屋外管理しても枯れないかどうか」が知りたいというのが一番ですよね?

「アガベのこの品種は寒さにとても強い!」とだけ書かれていても、じゃぁ私の家で冬の時期に外に置きっぱなしにしていいかどうかというのはわかりませんよね。

という事は、「アガベの耐寒性」+「自分の住んでいるエリアの冬の最低気温」の両方を知る必要があります。

その時に便利なのが「Plant Hardiness ZONE(USDA HARDINESS ZONES)」という指標です。

USDAというのはアメリカ農水省のこと。

そこで決められた植物の耐寒性に関する区分がUSDA Hardiness zoneというもので、北米およびメキシコにおいて植物がどの辺のエリアまで越冬可能かを示したデータがあるんですね。

アガベはメキシコ原産の植物なので、Hadiness zoneの区分が記録されているものが多く、その区分を知ることができればそのアガベの品種の耐寒性がどの程度なのかを具体的に知ることができます。

今回はアガベを例にして話を進めていますがこれはアガベだけの指標ではなく、その他のコーデックスやサボテン、多肉植物にも使われる世界的な指標なので覚えておくと便利ですよ。

Hardiness zoneの温度別の区分

Hardiness zoneとは

各エリアの年間最低気温の平均値を、華氏5度刻みに1a~13bまでの26の区分に分けたもの

Hardiness zoneはアメリカなので摂氏ではなく華氏で表示されているのが分かりにくいのですが、摂氏と一緒に併記すると以下のような区分になります。(※1aや13bなど日本ではほとんどない区分は省略)

zone 華氏(F) 摂氏(℃)
4a -30 to -25 -34.4 to -31.7
4b -25 to -20 -31.7 to -28.9
5a -20 to -15 -28.9 to -26.1
5b -15 to -10 -26.1 to -23.3
6a -10 to -5 -23.3 to -20.6
6b -5 to 0 -20.6 to -17.8
7a 0 to 5 -17.8 to -15
7b 5 to 10 -15 to -12.2
8a 10 to 15 -12.2 to -9.4
8b 15 to 20 -9.4 to -6.7
9a 20 to 25 -6.7 to -3.9
9b 25 to 30 -3.9 to -1.1
10a 30 to 35 -1.1 to 1.7
10b 35 to 40 1.7 to 4.4
11a 40 to 45 4.4 to 7.2
11b 45 to 50 7.2 to 10
12a 50 to 55 10 to 12.8
12b 55 to 60 12.8 to 15.6

※参考:USDA HARDINESS ZONES

アガベの品種ごとのUSDA zone(Hardiness zone)の調べ方

例えば、Agave potatorum var. verschaffeltii (怒雷神)の耐寒性を調べたい場合は、「学名(Agave potatorum var. verschaffeltii)」+「USDA zone」「学名」+「HARDINESS zone」などで検索すると該当品種のHardiness zoneが書かれたページがヒットします。

ex.)world of succulents

上記リンク内を見てみると、怒雷神のHardinessは「9b to 11b」とあります。

このサイトは親切なので華氏と摂氏の温度範囲も書いてくれていますが、USDA zoneの区分だけを書いているサイトもありますので、上の表を知っていないと9b to 11bとはどの範囲なのかがわからないと思います。

上記のサイト(world of succulents)と上の表をあわせてみると、怒雷神のHardiness zoneは「-3.9℃~10℃」という事が分かりますね。

多肉系のサイトを見ていてよく目にする間違いが「-3.9℃~10℃が栽培可能な温度である」かのような表記ですが、そんなこと当然ありませんからね?

こういうサイトは数値だけどこからか拾ってきていて、その温度が最低気温の平均値であることを全く理解していないので注意してください。そもそも栽培可能温度上限が10℃って日本では栽培不可能じゃないでしょうか?

耐寒温度として提示されている情報が、どんな数値なのかはちゃんと理解するようにしましょう。

ここで耐寒温度ではなく敢えてHardiness zoneといっているのは、アガベ怒雷神は-3.9℃まで耐えられる限界温度という意味ではなく、アガベが枯れることなく生息できるエリア(自生地)の最低気温の平均が-3.9℃~10℃という意味だから。

2月の最低気温が-5℃のこともあれば1℃のこともあると思いますが、それらを平均して-3.9℃までのエリアであるということです。きっかりとー3.9℃を境に冷害を受けてしまうというわけではないので覚えておきましょう。

住んでいるエリアのUSDA ZONEを知っておこう!

日本のエリアにおけるUSDA Hardiness zoneは以下のサイトで見ることができます。

Japan Interactive Plant Hardiness zone map

ここを見て自分の住んでいるエリアのHardiness zoneを知っておけば、自分が育てたいアガベの品種のHardiness zoneの範囲内にあるかが分かります。

上記サイト内で、自分の育てたいアガベのHardiness zone以外の区分(例えば怒雷神なら9b~11b以外のチェックボックス)チェックボックスを外すと、日本地図上に屋外で栽培可能(の可能性がある)エリアが色付きで表示されます。

例えば東京都心はzone 9b~10a(年間の最低気温の平均が-3.9℃~1.7℃)なので、その範囲(9b以上)のHardinessの品種であれば屋外で栽培できる可能性があると言えるでしょう。

※上記リンク内のエリア区分は、温暖化の影響によって今後区分が変更になる可能性がありますので注意しましょう。

Hardinessの値は「平均値」であることに注意

前述の内容に少し触れますが、怒雷神(Agave potatorum ver. verschaffeltii)のzoneは9b ~ 11bとあり、東京都心のzoneは9b~10aとのことなので、理論上は東京都心でもアガベ怒雷神を屋外管理しても枯れないという事になります。

しかし、注意点は「Hardiness」は過去の最低気温の平均値という事なので、その年によってもしかしたら寒波が押し寄せて平均をはるかに下回る最低気温の年になるかもしれません。その場合は枯れてしまう可能性が高くなります。

また、鉢の置き場所、風の当たり方、積雪の有無、地植えかどうかなどによっても微妙に温度が変わってくるので、USDA Hardiness zoneはあくまでも該当するアガベなどの植物の耐寒性の目安として考える方が安心です。

これは、USDAの数値が不確かなのではなく、日本での栽培環境やその年の気候によっては「100%大丈夫」などとは言えないという事です。

ただし、栽培しているアガベの品種が耐寒性の高い品種かどうかはわかると思うので、自身の栽培環境と照らし合わせて万が一にも枯らしてしまわないように対策をしましょう。

アガベの各品種の耐寒性と耐寒温度区分(Hardiness zone)一覧

品種名 耐寒温度(℃) USDA zone USDA zone
チャザロイ 0    
コリマ―ナ 0    
ホリダ -1 9b 11b
インプレッサ -1 9b 11b
吉祥冠 -1 9a 11b
エレミティアーナ -1    
ペトロフィラ -1    
アテナ―タ -2 9a 11b
イシスメンシス -2 9b 11b
チアペンシス -2    
クリソグロッサ -2    
ダジーリリオイデス -2    
フォルクロイデス -2    
ジョーホーク -2    
ペダンキュリフェラ -2    
テキラーナ -3 9b 11b
ブルーフレーム -4    
アングスティフォリア -4 9a 11b
ボビコヌルータ -4 8b 11b
フェルジェリー -4 9a 11b
ジプソフィラ -4 9b 11b
クーペラータ(奇厳城) -4    
ダティリオ -4    
デスメッティアナ -4    
ポタトラムベルシャフェルティ(怒雷神) -4 9b 11b
ゲミニフローラ(乱れ雪) -4    
ギガンテンシス -4    
グアダラハラナ -4    
グイエンゴラ -4    
ストリクタ -4 8a 11b
チタノタ -4 9b 11b
マクロアカンサ -4    
マルモラタ -4    
オルニソブローマ -4    
ピーコッキー -4    
ポタトラム(雷神) -4    
セバスティアナ -4    
サイザルアサ -4    
トリアングラリス -4    
キシロナカンタ -4    
クリームスパイク -7    
ジェスブレイティー(帝釈天) -7    
アルボピローサ -7 9b 11b
ホリダ・ペロテンシス -7    
ブルーグロー -7 8a 11b
ミティス -7 9a 11b
プミラ -7 9b 11b
レオポルディ -7    
スノーグロー -7 9a 11b
マピサーガ -7    
マテオ -7    
ビルモリニアーナ -7 9a 11b
ロイヤルスパイン -7    
シディゲラ -7    
シーマニアナ -7    
シャーウィー -7    
テヌイフォリア -7    
チタノタフェリペオテロ -7    
ワコマヒー -7    
セルラータ -9    
コロラータ -9    
コルネリウス -9    
フィリフェラ -9    
フレクシスピナ -9    
フランゾシニー -9    
アメリカ-ナ -9 8a 11b
ムルチフィリフェラ -9    
ロファンタクアドリカラー -9 8a 10b
ペローナ -9 9a 11b
オカウィ -9    
パルビフローラ -9    
ポトレラナ -9    
シュレベイ -9    
ゼブラ -9    
デザルティ -12    
ミスターリップル -12    
アプラナータ -12 9a 11b
スカブラ(アスペリマ) -12 9a 11b
パルメリー -12    
ブラクテオッサ -12 8a 11b
クリサンタ -12 7 10
モンタナ -12 7 10
マーフィー -12 9a 11b
マーフィーエンガード -12 9a 11b
ニッケルシアエ -12 7a 11b
パラサナ -12 7 11
トルンカータ -12 8a 11b
パリーウワシュセンシス -12 8a 11b
ポリアカンサ -12 9b 11b
シャークスキン -12 8a 11b
トーメイヤナ(竹の雪) -12    
ビクトリア・レジーナ(笹の雪) -12    
ウェベリー -12    
ジェントリー -15    
ロファンタ -15    
シュレベイマタペンシス -15    
オバティフォリア -15 7b 11b
フェロックス -15 8b 11b
アリゾニカ -18    
バッカラット -18    
デュランゲンシス -18    
ファンキアナ -18    
スプレンディーダ -18    
ポリアンティフローラ -18    
ストリアータ -18    
パリーネオメキシカーナ -18 7b 10b
パリーコウエジー -18 8a 11b
ユタエンシス エボリスピナ -18    
ユタエンシス ネバデンシス -18    
ショッティー -21    
レチュギラ -23    
マッケルベヤナ -23    
ハバディアーナ -23 5 10
カイバベンシス -23    
ユタエンシス -23 6 10
グラシリペス -26    
パリー(吉祥天) -29    

※参考①: world of succulents ※参考②: succulents and more ※参考③:GARDENIA

上記の表はアガベの耐寒温度を一覧にしたものですが、情報ソースによって数値に偏りがあるのであくまで参考値とした方が良いと思います。

またUSDA zoneに関しては情報がある品種が限られていて、全て調べつくすのが難しかったためわかる範囲で記載しました。

前述のように、一定の温度を基準に「アガベが耐えられる限界温度」とするよりは、USDA zone で最低気温の平均値を元にある程度の幅をもってアガベの耐寒性を判断した方が失敗は少なくて済みます。

去年の冬は野外で冬越しで来たのに、今年は特に寒くて降雪があったのでダメだったというような失敗をしないためにも、お住まいの地域の過去数十年間の冬の最低気温を調べてから屋外管理する品種を選ぶようにしましょう。

個人的な栽培経験とアガベのHardiness zoneを照らし合わせた感想

私がこれまでにアガベを育てたのは多くても15~20種類程度だったと思いますが、その中で私の住む東北の地で実生2~3年位の苗で、選抜漏れをしたものを耐寒性の実験として野外放置してみたりしています。

2021年~2022年の冬はかなり冷え込み、予報では最低気温がー8℃位が数日続くような日もありました。

我が家のアガベの屋外の起き場所は南側の軒下で、雪が吹きこめばアガベの上に積もるくらいの屋根しかありません。

そこにアガベを冬季に放置した感想をいうと、

・おおむねHardiness zoneの耐寒性の区分は信頼できるが、やはり厳格に「何度までなら耐えられる」というのは難しい
・耐寒温度-18℃としたユタエンシス・ネバデンシスは雪が積もろうが全く平気、笹の雪なども冷害はほとんど起きなかった。しかし、耐寒温度‐12℃とされているモンタナは―8℃予報の数日間で明らかに冷害を受けた。一方で、耐寒温度‐4℃とされているグアダラハラナは連日の―8℃でも耐えきった。
・苗の成長の度合い、地植えか鉢植えか、水を切っているかどうか、風が吹きつける所か、雪は積もるかなど様々な条件がありどこまで耐えられるかは読み切れない。

というような感想を持ちました。

明らかに寒さに強い、もしくは明らかに寒さに弱いという品種はおおむねその通りだけど、耐寒温度がそれらの中間に位置するアガベたちは判断が難しいです。

因みに笹の雪なんかは、実生1年弱の子苗でも冬の寒さにはびくともしませんでした。本当に寒さに強い!

まとめ

本記事ではアガベの耐寒性に関する考え方について、特にUSDA Hardiness zoneという指標に基づいた情報の解釈の仕方などをまとめました。

全てのアガベの品種を冷蔵庫に入れて温度を下げて検査したわけではないので、自生地の年間最低気温の平均値を基準に考えるというのはとても理にかなっていると思います。

しかし、その情報を誤って理解して、その温度がアガベの限界温度のように考えてしまうと冷害で枯らしてしまう原因になりかねません。

当サイトでご紹介した各品種の耐寒温度についても、必ずその温度までは野外管理しても枯れないという保証のあるものではないので、「書かれている通りの気温だったのに枯れてしまった」とクレームをいただいても対応しかねます。

各自の栽培環境に合わせて冬越しの準備を整えるようにしてくださいね。

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