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コーデックスの栽培知識

寒冷地でのコーデックス・珍奇植物の冬季栽培記録

冬の栽培

こんにちは、金成コーデックスです。

私が住んでいるのは宮城県北部の栗原市という場所なのですが、山間部ではないので積雪はそこまで多くないものの冬の寒さはやはり厳しく、昨年(2022/23年シーズン)は特に寒く、冬の最低気温が-10℃を下回る日が何度かありました。

例年でもやはり-8℃程度くらいまでは確実に下がるので、我が家で栽培している植物がどの程度生き残れるのか、本年から始めた屋外ビニールハウス栽培でひと冬を乗り切った結果をまとめたいと思います。

寒冷地栽培での南ア植物の越冬記録

上の画像は私の住む地域で最も寒い2月の気温の推移です。青いグラフが最低気温を表していて、今シーズンは-10℃を下回ったのは2日あったことがわかります。

これからこの東北の地で、複数種類の南アフリカ植物を育てていくときに、実際に育ててみないと分からない植物の耐寒性と管理のコツなどが知ることができました。

もし、我が家と同じような環境で珍奇・多肉・塊根などの植物を育てたい方は、少しでも参考になればと思います。

冬型の植物といえど品種によって当然耐寒性は違う

我が家にある植物の中で、一般的に「冬型(春秋型?)」と呼ばれる、耐寒性が高いと言われている植物は以下の品種などがあります。(※以下記載植物種内でも夏型・冬型の両方があるものもあります)

チレコドン/ペラルゴニウム/オトンナ/モンソニア/ケープバルブ系(エリオスペルマム、アルブカ、ブルビネ、マッソニア等)/メセン・多肉系(コノフィツム、ラピダリア、アロイノプシス、フォーカリア、チタノプシス、クラッスラ)/塊根系(ディオスコレア、フォークイエリア、ケラリア)

他にも、耐寒性の高いアガベなども多数栽培しています。

アガベ
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1シーズンハウス越冬に挑戦してみて、この過酷な環境にさらされたのはこれらの植物たちでした。

ハウス内の実際の栽培環境

冬季の我が家のハウス内は、「内張(エコポカプチ)」に「霜よけ(暖太郎)とYK-2ヒーター」を併用するという条件で栽培していました。

暖太郎
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前述の植物の多くは内張内にしまい込み、基本的に最低気温が-3℃を下回りそうなときは暖太郎をつけて霜よけを行いました。また、最低気温の予報が-8℃近辺の時は「YK-2」という暖房器具を点火しました。

これによって、内張内の最低気温は-6℃を下回ることはありませんでした。

また、1月中頃までは最低気温の予報が-2℃~-3℃程度であれば、内張内に入れずどの程度寒さに耐えられるのかを試したりもしました。

冬のハウス栽培で植物を枯らしてしまった主な原因

ハウス栽培で暖房をつけつつ、内張内に植物をしまい込んで栽培してもやはり多くの植物を枯らしてしまいました。

その原因は、短期間の急激な低温というよりは、長期間にわたる低温と密閉していたことによる高湿度で用土が常に湿ってしまい、鉢内の環境が悪化してしまったことにありました。

ハウス内は真冬でも太陽が出れば日中10度くらいまで温度が上がることも珍しくないのですが、朝方の冷え込みに備えて密閉し、暖房をつけることで翌朝ハウスに行くと湿度は90%越えで大量の結露が発生していました。

低温で高湿度の環境は、高温時に比べて換気ができず用土も乾きにくいので、カビが発生しやすいです。

特に多肉質の南アフリカ植物においては、葉の付け根部分や成長点付近から菌が入って腐るものが多く、鉢内よりも濡れた表土付近でカビが発生しているものが多かったです。

2022‐23年シーズンの経験を踏まえて、2023-24年の冬越し

2024年の冬は暖冬といってもいい温度で、2月の中旬にはここ宮城でも日中の温度が20度近くにまで上昇する日もありました。

今シーズンは寒い日でもハウスのサイドを開けて換気、また本格的な寒さが来る前に殺菌剤散布を行いました。

昨年よりも暖かかったこともありますが、枯らす植物は少なかったように思います。

我が家では電源がないためハウス内で大きな換気扇を回すことができないので、ある程度換気に気を付けつつ管理することで難を逃れることができたと思います。

ただ、秋蒔きメセンの実生が腐りやすく思ったよりも数を減らしてしまったのが反省点でした。秋蒔きメセンはハウスではなく家の廊下など寒くても湿度が上がりすぎない環境で栽培した方が良さそうだなと感じました。

各品種の耐寒性(個人的感想)@ 宮城県栗原市の我が家のハウス環境

ここまでに記載した我が家のハウス環境と暖房設備、越冬で気をつけてることを踏まえた私のメモです

  • ケラリアピグマエア:塊根部は耐えるが葉は枯れ落ちることが多い
  • ペラルゴニウム:P.pachypodium, mirabile(crassiaule), crithmifolium, triste, appendiculatum, auritumあたりは高湿度でも葉にカビが生えたり枯れることはほぼ無かった。一方で、P.caroli-henrici, moniliforme, oblongatumなどの表土近辺に葉が這うように生える品種や葉質が薄い?品種はカビが発生しやすかった。秋まき実生も表土付近んでカビが生えやすいので室内管理が安全。ただし、ミラビレはハウス実生でもほぼカビが生えなかった
  • オトンナカカリオイデス:O.cacalioidesは枯れ落ちた葉にカビが生えやすいので枯葉は見つけたら取り除くといい。基本的に寒さに強く塊根部分が腐ったりすることはなかったが、枯葉からカビがBODYまで届いて成長点がつぶれることはあった。
  • オトンナクラビフォリア:O.clavifoliaは寒さに弱く腐りやすいので我が家では絶対室内管理、ハウスは無理。
  • オトンナユーフォルビオイデス:実生も何もかもカビが生えることはなかった。強い。水切れにも強い印象
  • オトンナsp.ステインコフ:水切れに弱く真冬でも水がないと葉がすぐ垂れ下がり、表土につくとそこからカビが発生しやすい印象。
  • オトンナヘレイ&アルミアナ:寒すぎると葉の付け根や成長点付近から黄金色の樹液を出しやすい。寒さには比較的弱い気がする。アルミアナの方がまだ若干寒さに強いかも。
  • オトンナレピドカウリス:水切れで葉や花芽が垂れ下がりやすい。花芽が多いタイプなのでその重さで幹が曲がったり樹形が乱れやすいので水切れに注意するか冬なら花芽を減らしたほうが良いかも。秋まき実生1年未満は表土付近でカビが発生しやすいので注意
  • オトンナレトロルサ:めっちゃ強い。水切れも大丈夫だし水をあげてもカビも発生せず成長する。
  • オトンナアルブスクラ&オトンナクエルシフォリア:寒さで葉の付け根付近で樹液を出しやすい。株元よりも枝先が寒さで傷みやすい気がする。
  • オトンナウリンクリアナ:寒さには強い印象。水切れでも耐える。枯葉や枯れた花芽にカビが発生する
  • オトンナトリプリネルビア:寒さには強い。肉厚の葉が寒さで黄色くなるがカビは生えにくい。寒さでやや樹液が出る。
  • オトンナロバタ:基本的に強い、水あげても平気
  • ブルビネ:weiseiなどの実生をしたが、真冬のハウスで若干カビが生えやすかったので実生は室内のほうが良いかも。ある程度球根ができている株は寒さに強いが、寒すぎると葉の先端がしぼんだりしやすいので注意。mesembryanthemoides, hallii, vittatifolia, sp. Nakaburgあたりも育てているけどある程度の寒さは耐える。
  • チレコドンぺアルソニー:寒さに強いチレコの中では寒さにあまり強くない印象。枝先がボロっと崩れるようになったり、根腐れで株の内部が溶けてしぼんだりする株がいくつかあったので、今年からは室内に移動。ある程度の大きさの株なら水やりに気を付ければハウス越冬は可能だと思う。
  • チレコドンシングラリス:寒すぎると多肉質の葉が凍結して枯れ落ちやすい。2022‐23年は寒さで葉を落とす株が多かったが、2023-24年シーズンは葉を落とす株はほぼ無くハウス内で2月中旬に花芽を伸ばし始めた。
  • チレコドンレティキュラーツス:寒さに強い、ハウスで問題なし
  • チレコドンボドレイアエ&群卵:葉が丸く枝が細い(地中の塊根はデカい)タイプのこれらは寒さにすごく強い。
  • チレコドンアトロプルプレウス&エラフィアエ:寒さに強く真冬のハウスでも成長が見られた
  • チレコドンラケモサス:寒さには強い方だけど、茎が伸びすぎて先端部の重さに耐えられなくなってぽっきり折れる株が結構あった。その部分から枯れた株があったので樹形に注意。
  • チレコドンパニクラツス:寒さで葉の付け根にカビが発生した。成長が早いタイプで植物体内の水分量も多いので冬は水やり少なくていいと思う。
  • モンソニア:バンデリエティアエは夏型なので室内。moriさんのメソッドは室内LEDが基本だけど、我が家では今シーズンからハウス越冬に挑戦、ムルチフィダは室内腰水環境で用土内の環境が悪化しがちだったのである程度の大きさになったらハウス管理でいいかも。クラシカウレ、キリアータ、ペニクリナムも2024年シーズンはハウス越冬できている。
  • アルブカ:基本度の品種もハウスで越冬できてる。寒さの強い方が葉の巻きが良い気がする。実生も問題なし。
  • エリオスペルマム:チタノプソイデス、パラドクサム、コーディフォルミス、エリナムあたりは順調にハウス越冬。問題なし。
  • アロイノプシス:基本どれも強い。実生はカビが生えてダメになった品種がいくつかあったので今後は室内でやるかも。特にA. luckhoffiiの実生がうまくいかなかった。一方、A.malherbeiやA.spathulataは失敗が少なかった。実生1年以上経過したものはどれも頑丈で育てやすい。
  • フォーカリア:寒さに強い。実生の感じはアロイノプシスと似てる。室内のほうが良いかも。
  • フィロボルス:エーンリエット、テヌイフロルスらは開花し元気そう。低温高湿度でもカビが生えることはない。実生はカビが生えやすかったので今後は室内で管理すると思う。

多分上記に書ききれていないものが結構あるけど、思いついたもので言えばこんな感じ。追記あれば増やします!

まとめ

東北で栽培しているとよく「冬の管理はどうしていますか?」と聞かれることが多いのですが、一番は温度より換気や除湿が枯らしてしまう原因になるので気を付けています(※基本的に寒さに弱すぎる品種はあらかじめ室内に入れるかそもそも育てていないため)。

2024年シーズンでは、ユーフォルビア峨眉山など幾つかの夏型品種もハウス内越冬を試みていますが、現時点では真冬に謎の開花をしながら元気に生きのびています。本当に実際に自分の環境で育ててみないと分からないことだらけ。

ここで書いたのはあくまで私の栽培環境での話ですが、いろんな発見があるのでやっぱり色々試しながら育てるのは楽しいです♪