オペルクリカリア・デカリー(Operculicarya decaryi)は、マダガスカルに自生するウルシ科のコーデックスです。
オペルクリカリアと言えば、コーデックスの王様「オペルクリカリア・パキプス」が有名でとても人気がありますが、種子の流通量はデカリーに比べると極端に少なく、かといって現地球株は手が出ないほど高価。
そんなこともあって、私はいずれはパキプスの種子を手に入れて実生栽培を行いたいと思っていますが、手始めに比較的流通量の多いデカリーの種子を購入し実生栽培を行ってみることにしました。
※内容は一部「おしえて!田舎センセイ!」のコーデックスカテゴリー内の記事と重複していますが、実生記録はこちらの金成コーデックスの記事の方で更新していきます。
Contents
オペルクリカリア・デカリーの種子の購入
オペルクリカリアデカリーの種子は、オペルクリカリア属の中で最も流通量が多いので入手はそこまで難しくありません。
【種子の購入先】 Koehres, Germany
【種子の購入個数】20粒
【種子の購入時期】2019年2月
種子の購入はドイツの「Koehres(ケーレス)社」です。
検疫手数料などを除いて10粒で2.2ユーロ(約278円:2019年3月15日時点)でした。そこまで高価な種子ではないですね。(※検疫手数料などを加えると国内で購入した方が安上がりになる場合もあります)
日本で購入する場合はこちら
オペルクリカリアデカリーの種子の特徴と下処理(果肉の除去)
オペルクリカリアデカリーに限らず、オペルクリカリア属の種子は購入先によっては種の周囲に乾燥した果肉が付いていることが多いです。
デカリーの実生を行っている方の記事などをみると「カビてしまった」という報告が多くありましたので、私は通常通りメネデール&ベンレート希釈液に半日種子を浸した後に不織布などでふやけた果肉をぬぐい取ってから撒きました。
そのおかげか播種した種子はいずれもカビることはありませんでした。発芽率への影響は不明ですが、カビの事を考えると果肉は取り除いてしまった方がいいように思います。
オペルクリカリアの種子がカビやすいことはこちらでも触れました。
オペルクリカリアデカリーの実生栽培記録
デカリーの種を蒔く~発芽
オペルクリカリアデカリーは夏型のコーデックスなので、3~5月が種まきの適期となりますが、私は少し早い3月上旬に播種したためか発芽はわずか3粒(20粒中)とかなり悲惨な結果になってしまいまいました。
【発芽率】 3/20(15%)
【発芽観測】播種から5日後
【用土】 硬質赤玉土:バーミキュライト=1:1
【播種】 3月上旬
これは我が家の環境(東北北部で3月はまだまだ寒い)ことが影響していたと思いますが、ヒーティングで温度を保ちながら行っていても効果は薄かったようです。
オペルクリカリアの発芽率はかなり低いと聞いていたので、半分くらい発芽すればいいなと淡い期待を抱いていましたが全然ダメでしたね。またリベンジする予定です。
デカリーの種子は嫌光性種子!?
個人的な推察ですが、種子の周囲に果肉が付いているタイプの種子は鳥などに食べてもらって周囲の果肉を消化させてから、糞と一緒に地面に落ちて発芽するメカニズムだと思っています。
という事は、発芽に関しては果肉はいらないし、嫌光性種子のように思います。
覆土したバージョンと土の上にのせただけのバージョンで試しましたが、発芽したのはいずれも覆土した方だった(※試した数が少ないので誤差の範囲として参考値扱い)ので、嫌光性種子寄りだと考えていいかもしれません。
播種1か月後:幹の木質化スタート&腰水終了
3本あるうちの真ん中のデカリーは一番最初に発芽した子で、遮光や高湿度環境が他の2つよりも長く続いてしまったためにやや徒長してしまっていますね。
種まきから1か月が経過した頃に、幹の木質化がスタートはじめたので腰水をやめて鉢上げしました。
僅か1か月でそれらしいおイモができてきたので、期待を寄せつつもうしばらく土の中で大きくなってもらえるようにしっかりと覆土して植え替えました。
実生2か月目:LEDライトのせいで葉が黒ずんできた?
デカリーが発芽して2か月ほど経過して、生長はしばらく順調だったのですがある時点で少し成長に陰りが見えてきた感覚と、やや「葉が黒ずんでる」という様子が見られるようになりました。
本来オペルクリカリアは日光を好むので、葉焼けしない程度に日光によく当てた方が成長すると書籍などにも書かれています。
この時はまだ日光に当てることはせずに植物育成用のLEDライトを照射していたので、日照時間的には十分確保できていると思い込んでいたんですが、葉の色が黒っぽいのは何かおかしいと思い、思い切って日光にがっつり当ててみることにしました。
実生3か月目:日光に当てたら葉の色が明るい緑に戻る
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どうやらデカリーの葉の変色は、直射日光が不足していたようで、かなり暑い日に直射日光下にしばらく置いておいたら2~3週間で色が明るい緑色に戻り、新芽が新たに出てきました。
これは新芽が伸びたから緑なのではなく、黒ずんでいた葉の色が明るい色に変わってこの色になっています。
実生半年:植え替え【2019/9/29】
プレステラに植えていたデカリーの草丈がかなり高くなり不安定になってきたことと、成長がやや鈍化してきたように感じたので一度掘り起こしてみることにしました。
こうやって塊根部を見てみると成長したなーという思いと、こんなにいくつも芋ができているのは想像とちょっと違ったなーという思いが入り混じりました。
なんかもっとこう1つの塊根がデカくなるイメージだったんですが、、まぁいいか。
根は分岐してはいましたが順調に成長しているようで、この後は高くなった草丈でも十分に耐えられるように大きめのスリット鉢(12cm)に植え替えました。
用土は「硬質赤玉土(中粒):日向土(小粒):ゼオライト=5:4:1」にして、用土にはマグァンプKを少量混ぜ込みました。
実生7か月:スリット鉢に植え替えて成長促進?【2019/10/25】
デカリーをスリット鉢に植え替えて約1ヶ月でまた一段成長の段階が上がった気がします。
春~夏にかけて伸びた葉の根元から、新芽がでてぐいーっと葉柄を伸ばし始めました。
これまでは一本の幹に交互に枝が生えていたのが、さらにその根元から数本ずつ枝が生える形になるので、見た目的にも一気に葉が茂ったように見えます。
きっと鉢が小さくて窮屈だったんでしょうね、植え替えた途端動き出したのでもう少し早く気付いて植え替えてあげていればよかったなーと思います。
まもなく冬に差し掛かろうというタイミングで成長しているのも不思議な感じですが、この後は冬越しに向けて温室管理に移行させる予定です。
実生8か月:ガラス温室管理に切り替え
成長の段階を挙げたデカリーは、葉を全て落とさせるのではなく温室内で管理してこのまま成長させようと思います。
使っているのはピカコーポレイションのガラス温室。基本的に20℃は下回らない温度で管理し、温室内は扇風機で空気が循環するようにしています。
温室内でも新芽を出しています。
このまま来年の春まで温室でぬくぬく育てていいのかわかりませんが、いい感じで成長しているのでこのまま様子を見ていきます。
まとめ
本記事ではオペルクリカリアデカリーの実生栽培記録と育て方のポイントについてくわしくまとめました。
灌木系は大きい株になるまで時間がかかると思いますが、成長に変化があり次第随時デカリーの実生記録を更新していきます。