こんにちは、金成コーデックスです。
冬型塊根メセンのひとつ「フィロボルス/Phyllobolus」属は、アイスプラントのようなプチプチした多肉質の葉をもち、塊根部が太る品種も多いので人気があります。
比較的流通量も多いと思うのですが、花の形状が変わっていて受粉方法がやや特殊なこともあってか種子があまり出回らないので、本記事で受粉作業の経過をご紹介いたします。
フィロボルス属の受粉方法について
我が家では、以下の二つのフィロボルス属の植物を実生で栽培しています。
・Phyllobolus ssp. eenriet
・Phyllobolus tenuiflorus
本記事では花が合ったP. eenrietで受粉の作業をご紹介しようと思います。
フィロボルスの花を分解する
フィロボルスの花は、外側からは「花粉」も「雌蕊」も見えません。
自生地ではおそらくこの花序に潜り込む小型の虫がいるのだろうと思いますが、日本の自然環境下で同じような動きをする虫がいるかどうかわからないので、人の手で受粉したほうが良さそうです。
フィロボルス・エーンリエットの花序をピンセットで分解してみました。
最初はカッターで切り開こうかと思ったのですが、ピンセットでつまんで引っ張るとちょうど雌蕊が見えるような位置で剥がれるので、あえて刃物で傷つける必要はなさそうです。
ある程度めくると簡単に剝がれていき、剥がれた方の内側には花粉がびっしり。残ったほうには柱頭が露出します。
完全にはぎ取ってしまってようやくどこに花粉があるのかわかりますね。はぎ取らないとこの位置の花粉を採取するのは難しいでしょう。
残された側の片割れはこのように柱頭が露出するので受粉する場所が分かりやすいです。
フィロボルスの受粉をする
別々の花が二つ以上あれば、どちらも同様に花弁をはぎ取り一方の花粉をもう一方の雌蕊に付けます。
後は結実するのを待つだけ。
受粉後の様子:結実
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本記事内の一連のフィロボルスの受粉に関する流れを上のInstagramに投稿しましたが、受粉して数日経つと結実したのか赤く色づいてきました。
まとめ
本記事では少々テクニックが必要なPhyllobolus属の受粉方法についてまとめました。
どのようにやるのが最も効率的かは検討の余地がありますが、ひとまず私のやり方をご紹介いたしました。もしもっとやりやすい方法があればぜひ教えていただきたいです。
それにしても、この日本でこのようなフィロボルスの花の受粉を手伝うような虫はいるのでしょうか?いるとしたらどんな虫なのか気になりますね、蛾?や蜂?それとも小さい甲虫などでしょうか?
自生地のポリネーターがどのような虫なのかわかりましたら追記いたします。