こんにちは、金成コーデックスです。
当サイトは実生栽培をメインで行っている様子を公開していますが、種はまけども胞子はまいたことがありませんでした。
ひょんなことから大学時代の友人にP. alcicorneというビカクシダの胞子をいただいたので、胞子培養に初挑戦してみました。
本記事は、私のビカクシダの胞子培養の挑戦記録です。
胞子培養は長期間のチャレンジのため記事は随時更新する予定でおりますが、結末が成功となるとは限らないのであくまでも参考程度にご覧いただければと思います。
ビカクシダの胞子を安く色んな種類手に入れてみたいという方はこちらの記事もどうぞ↓
Contents
ビカクシダの胞子培養挑戦記録
胞子培養の下準備【2020/10/29】
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上のInstagramは友人から届いた直後の胞子の状態です。葉先にびっしりとこびりついているのが分かりますね。まずはコレを何とかする必要があります。
胞子培養初心者の私はこの時点で「さて、どうしたものか」と手をこまねいていたので、Twitterで知識を募った所、たわし集め(@tawashiatsume)さんより沢山コツを教えていただきました。
葉を乾燥させると胞子のうが開いて胞子が飛び出ますが、ビカクシダの場合、胞子のうが星状毛や鱗片に混ざりよく胞子が落ちてこないことがあります。
茶色い部分をスプーン等でゴリゴリ削って、削った茶色いモワモワを乾燥させると上手く黄色い胞子が落ちます (モワモワごとまく時もあります)。
— たわし集め Tawashi-Atsume (@tawashiatsume) October 28, 2020
初期の葉から胞子を取り出して培地に蒔くまでの過程を具体的にご教授くださいました(ありがとうございました)ので、その通りにまずは「葉から胞子を外す作業」を行いました。
胞子葉から胞子を外す
この工程に関しては、葉ごと袋に入れて放っておけば乾燥した胞子が解き放たれるのですが、たわし集めさんによると私がいただいたP. alcicorneは鱗片が多いのでスプーンでこそぎ落とした方が良いそうです。
教えていただいた通りにスプーンを使ってゴリゴリと胞子をそぎ落とします。
とれました。
胞子と言っていますが、茶色い色をした殻のようなものは胞子ではなく、その中にある黄色い色の胞子だけを取り出したいので、そぎ落とした胞子を保管して乾燥させ、胞子を放出させる必要があります。
マクロレンズで寄って見てみると茶色い殻のようなものと、その中から飛び出した黄色い胞子、白っぽい埃のようなものが見えます。
おそらくこのこそぎ落としたものをそのまままいてもダメじゃないとは思うのですが、胞子を取り出すために乾燥させる必要があることを考えると、やはり殻にくるまれたまま湿った培地に載せても萌芽率が下がりそうな気がしますよね。
胞子とそれ以外の不純物を分けるためには封筒に入れて保管しておくと良いそうで、数日経過して上手く黄色い胞子がとり出せていたら、トントンと封筒を叩けば胞子とそれ以外が分けやすくなるようです。
胞子葉2枚分の胞子をこそぎ落として、封筒に入れました。この後1週間から10日ほどかけて乾燥して、胞子が出てくるまで待ちます。
胞子を培地に付着させ培養開始【2020/11/7】
今日は土曜だけど息子たちを登園させたので、ようやく落ち着いて胞子培養に手が出せます!!
ビカクシダの胞子培養本日からスタート!!ジフィーセブンに水吸わせてレンチンで殺菌しましたよっ!
あたは胞子を載せるだけなんだけど、封筒の中の胞子と鱗片とか毛の分離をどうやろうか思案中。。 pic.twitter.com/txGIist4kf
— 田舎センセイ (@inakasensei) November 7, 2020
具体的な手順に関しては上記のツイートの流れ通りです。
胞子培養は「無菌」が命。使用する道具や手指の殺菌を怠ると、胞子が育つ前にカビや藻、苔などが繁殖してしまって肝心の植物が育たたないのでしっかり準備をします。
今回は「ジフィ―セブン」を培地にして、胞子培養を行いますが人によってはピートバン、ピートモス、バーミキュライト、ミズゴケ、ジフィーポットなどを使うこともあるようです。
私がジフィ―セブンを使う事にしたのは、SNSでジフィ―セブンを勧めていただいたことと、検索した時に他の方が色々な培地で実験した結果ジフィ―セブンの成功率が高そうだったことが理由です。
ジフィ―セブンを膨らませて使用するタッパごとレンジでチン!
使用する容器と培地を殺菌するために、レンジで加熱処理を行いました。
ジフィ―セブンは水を吸う事で5cmほどに膨らむので、まずは水を完全に含ませてから容器ごとレンジで加熱します。タッパはDAISOの蓋つきのもので密閉しやすいものを選びました。
このくらいだったのが、
5㎝位まで大きくなるので、容器を選ぶ時は高さのあるものを選びましょう!
荒熱が取れて常温に戻ったら、胞子を付着させていきます。
筆を使って胞子を付着させよう
筆も胞子を広げるための容器も全て一度熱湯で消毒しています。
胞子を白い陶器製の容器に広げてみると、乾燥して割れた鱗片(からのようなモノ)から小さくて黄色い粉のような胞子が出ているのが確認できました。
出来るだけ不純物を取り除くと良いと教わりましたが、この状態から胞子だけを取り出すのはかなり至難の業なので、ある程度胞子だけを選んで負けるように小さめの筆を使って胞子をすくい取るようにしました。
細かすぎて見えませんが、結構な数の胞子がついてます。これをジフィ―セブンの上にトントンと振るうようにして胞子を落とします。
これで胞子を培地につける作業は完了です。あとは直接日光があたらずに比較的暖かい場所に置いておきます。我が家の場合はガラス温室内に置きました。
ここからは湿度を上げるためと菌の混入を防ぐために蓋は開けず、しばらく経過を観察しようと思います。
胞子培養17日目:ジフィ―の表面がうっすら緑になる
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胞子をジフィ―につけてから2週間ほどで何やら緑色になってきた気がするなーと思っていたんですが、17日目で明らかに緑色になったと言えるくらいまで来ました。
胞子培養45日目:胞子体までもう一息かな?
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苔のような前葉体がびっしりとジフィ―を覆いつくしてから少し経って、胞子体になっていきそうな大きめの葉っぱもチラホラ見えてきました。でもたぶんまだ胞子体とは呼べない段階。成長に関しては順調な様子です。
前葉体が出てきた段階で、水滴をぽたぽたと上から垂らす作業を3~4日に1回はするようにしました。これはビカクシダは受精のために水が必要であるためで、霧吹きよりは水滴をぽたぽた垂らす方が良いそうです(※又聞きした話なのでエビデンスはありません)
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最初は100均のスポイトでぽたぽた垂らしてたんですが、時間がかかるので画材用の水挿しを使ってやり始めたら楽ちんだったのでおすすめ♪
全く同じものではないですがこういうの↑
胞子培養61日目:ジフィ―の1つに糸状菌が発生
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胞子培養を始めてちょうど2か月が経過し、胞子体っぽいのもチラホラと出てきたところで、ジフィーポットの1つに明らかに糸状菌によるカビとみられるものがみえたので隔離→殺菌剤散布を行いました。
殺菌剤(オーソサイド)の濃度は2000倍希釈で、1日おき位で3回ほど噴霧してどうやらカビは消えた様子。
胞子まいて2か月でこれくらいの成長しかしてないけど、多分、、、順調なはず。
胞子培養85日目:胞子体を発見
胞子培養85日目にして胞子体を発見しました。上の写真は94日目のもので最初の胞子体発見から10日余りでジフィ―の至る所に胞子体が見えるようになりました。
ただ同じタッパー内で育てていても、胞子体が出てくるのは結構端っこの方というか、偏りがあって均一ではありません。
まったく胞子体が出てないジフィ―も半数以上あるので、この差は何なのだろう?
胞子培養100日目:胞子体の数がかなり増える
キリの良い所で100日目の経過報告。
胞子体の数は徐々に増えるも、まだジフィ―によってはバラつきがある。
今のところカビなどは発生せず順調。
水滴を垂らしていてタッパーの底に水が結構溜まってきたので、アクアリウム用の巨大スポイトで吸い取って排水。なんとなくジフィ―の劣化なのか形が崩れてきてるのが目に付くようになった。
胞子培養116日目:すべてのジフィ―に胞子体が発現
胞子培養が4カ月弱経過し、全てのジフィ―に胞子体がびっしり確認できる位にまでなってきた。
最初の方にでてきた胞子体は、2~3本くらいに増えているものもあって正直スペーシングが必要な段階のようにも思える(けど、触るの怖いのでまだ放置)
ここまで3~4日での水滴たらしは継続中、でも受精して胞子体がびっしりついた時点ではもう必要のない作業なのかも。
ここにきて胞子体の数に一抹の不安を覚え始める。。
(これ全部育ったらどうしよう・・・)
胞子培養209日目:ジフィ―にスペーシングしつつ植え替え
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胞子体がある程度大きくなってきたので、このままジフィ―セブンに植えつけていると成長が鈍化すると教えていただいたので、板状になっているジフィ―をほぐしながらDaisoのあるタッパーに敷き詰めてスペーシング目的で胞子体を移植しました。
大きめの胞子体をピンセットでジフィ―セブンの土ごとごそっと抜き取って移植します。
この時に成長点をあまり傷めないように注意しましたが、あまり胞子体が大きくなりすぎてると抜き取るのが難しいので、移植をするタイミングはもう少し早くても良いのかなと思いました。
胞子培養400日目:鉢上げ
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間がものすごくあいてしまいましたが、胞子培養開始から1年1か月である程度のサイズに育ったアルシコルネを1.5号の鉢にミズゴケと共に植えました。
胞子体が出現してからは、スペーシングをしつつ100均のザルに植えつけましたが、今回はその中でもある程度生き残ったものを鉢上げする形になりました。
この後はある程度通常のビカクを育てるのと同じような環境で、乾燥に注意しながら育てていきます。
まとめ
本記事では、ビカクシダの一種のP.alcicorneの胞子培養の過程をまとめました。
冒頭にも書きましたが、長期間にわたる挑戦になるので、随時更新しながら経過をお伝えできればと思います。
その都度変化があればInstagramのストーリーズにアルシコルネの胞子培養記録を一覧の流れで掲載していますので、ブログの更新よりも先に経過を知りたい方は是非Instagramをフォローしてくださいね。