こんにちは、金成コーデックスです。
チレコドンの中でも異彩を放つ「Tylecodon singularis / チレコドン・シングラリス」の実生栽培記録をまとめます。
チレコドンは多肉質の葉っぱと塊根があるのが特徴ですが、このシングラリスはデカい葉っぱがデーンと鎮座している不思議な風貌で、以前はものすごくレアな品種でしたが今は少しずつ流通してきてるようにも思います。
本記事では、自らの実生から種子を採取するところまでの栽培記録をまとめます。
Contents
チレコドン・シングラリスの栽培方法・育て方
Tylecodon singularisの種子の入手・購入について
チレコドン・シングラリスは実生株でも高額であることが多いので、種子を探している方も多くいらっしゃると思います。
私も最初は種子を探し、国内では流通がなかったのでドイツのKoheres₍ケーレス₎から購入しました。おそらく2019年くらいだったと思います。
ケーレスは頻繁に在庫の変更がないか覗いていますが、あれ以降シングラリスの在庫があったことがほぼないので、きっと運が良かったんでしょうね。その後、他の海外のサイトで種子が売られているのを見ることもありますし、ヤフオクなどで販売している人もいるので「探せばある」といった状況でしょうか。
後述しますが、チレコドン・シングラリスは自家受粉するようで、我が家のシングラリスも花芽をつけ結実しているようなので₍2022/5/30現在₎、私と同時期にケーレスから種子を購入した方や、開花株をお持ちの方が採取した種子が今後沢山流通してくるように思います。
チレコドン・シングラリスの種子をまく
チレコドンの種まき時の注意点
チレコドン・シングラリスの種子は、他のチレコドンの種子と同様に「微細種子」と呼ばれる、ものすごく細かい種です。
微細種子の播種方法に関しては、上記記事をご一読ください。
チレコドンの播種用土
私はチレコドンの播種用土には、内部は赤玉土ベースで、表土₍5mm~1cm₎程度の厚さにバーミキュライトか赤玉100%の苗代育苗培土などを使っています。
基本的に「無肥料」で「保水性が高く」「目が細かい」ものを使えば何でもいいと思いますが、チレコドンは成長が遅く長期間腰水などで底面吸水を行うので、鹿沼土などは藻や苔が発生しやすいため避けた方がいいと思います。
上記リンクでもご紹介していますが、殺菌剤として播種後にオーソサイドを霧吹きすれば藻の発生が抑えられるので、チレコドンがある程度の大きさに育ってくれる前に藻やアオミドロなどに覆いつくされてしまうケースも予防できると思います。
チレコドンの播種後の管理
用土を準備したらあらかじめ熱湯をかけて殺菌し、表土にパラパラと種子を蒔いたら覆土はせずに腰水で管理します。
ある程度の大きさになるまでは腰水で管理しつつ、肉厚のある葉が展開するまでは直射日光を避けて育てた方がいいでしょう。
チレコドン・シングラリスの実生栽培記録
実生3日目で発芽確認【2020/6】
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シングラリスの発芽にかかる時間はそのほかのチレコドンとさほど変わらず約3日で発芽が確認できました。
3週間目
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実生開始から3週間で子葉が大きくなってきました。この時点ではまだシングラリスらしさはないのですが、万物想やぺアルソニーなどは子葉の時点で多肉質で丸い葉になっているのが、このシングラリスは横に大きく広がっている気がします。
2か月目【2020/7】
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サイズにばらつきはありますが、実生開始から2か月で本葉が見えるようになりました。葉脈も何となく確認できるので、シングラリスらしさが見て取れます。
実生4か月【2020/10】
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本葉が見え始めたと思ったら急に成長が早まってぐんぐんデカくなりました。
本葉がある程度見え始めた実生3か月ちょっとの段階でプレステラでの寄せ植えが狭くなってきたので、2号鉢に個別に鉢上げしています。
最初に子葉の間から出てきた葉がずっと大きくなってシングラリスのあの特徴的な葉になるのかと思いきや、意外とその後にも株元から葉が伸びてきてシングラリスらしい葉っぱに更新されている感じです。
8か月目【2021/2】
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真冬の2月にはやはりさすがに成長も止まり、鉢上げしてからLED栽培スペースからあぶれたことで日照も確保しにくくなって 、冬の間は日当たりのあまりよくない廊下の棚下での管理にしてしまいました。
それらしき本葉になってるのが半数ちょっとくらいで、夏に入る時期に播種したこともあって生育期の秋にある程度大きくなってくれたのが良かったのかもしれません。東北の冬は寒いので、厳寒期は成長を焦らず管理することとしました。
1年4か月目【2021/9】
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実生1年4か月で2度目の夏になりました。
基本的に室内で管理していて、午前中いっぱい直射日光が差し込む廊下に置いてあった株は葉を落とし、室内LEDで栽培していた株は葉を落とさず成長しています。写真の株は室内LEDで栽培しているものです。
まだ花芽などは確認できず、来シーズンの夏前に期待したいところ。
1年6か月目【2021/11】
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涼しくなって成長スピードに差が出てきたこともあって、やたらと葉を広げている株はプレステラ105にサイズアップしました。
塊根が露出しているものも多かったので少し深植えにしたのですが、塊根部分₍正確には本葉の付け根当たり₎から花芽が出ることを考えると、ある程度は塊根の上部分が露出してる方がいいのかも?とも思いました。
1年10か月目:花芽を初確認【2022/3】
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実生2年弱で花芽を確認しました。
20株くらい所持してるうち、花芽を出したのが2株。
一つはずっとLEDで栽培していた葉が大きく育っていた株で前シーズンの夏場に葉を落とさなかった株。もう一つは植え替えをせず廊下で放置気味だった小さめの株で、前シーズンに本葉が落葉した株です。
成長シーズン前の植え替えの是非や、LED管理か自然光か、また落葉する₍休眠の₎是非なんかもこの比較だけではわからず。
ただ、葉が大きいほうの株は花芽も太く花数も多かったです。(大きいほうの花芽は花数29個、一方で小さいほうはわずか5個)
実生2年:自家受粉による結実【2022/5】
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花芽を伸ばし始めて1か月ちょっとくらいで開花を確認。ベル状の花を咲かせました。花の香りは特になし。
花は花芽の下の方から徐々に広がって花芽の先端に向かいますが、花が30弱ついたほうの株では一つ目の開花から2週間ほど経過してもまだ先端の花の開花までたどり着かずゆっくりな感じ。
チレコドン・シングラリスは自家受粉するという話を聞いていたので試してみたところ、1~8個目の花すべてで自家受粉で種ができたっぽい(花が落ちず根元がカチカチに固まってる)です。
種でけたっぽいな🤔 シングラリスやっぱり自家受粉簡単にするんだな。 pic.twitter.com/DNrAEm3NUc
— 田舎センセイ (@inakasensei) May 30, 2022
基本的にチレコドンは自家受粉しないとも聞いたことがあったので、シングラリスは例外的な扱いなのかもしれません。
種子の採取【2022/8】
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チレコドンシングラリスの自家採取種子については、自家受粉で実際に結実してるのは確認できました。いずれも種さやが膨らみ、中に種子₍?₎が入っているようでした。
ただ、いくつかの種さやでは兄弟株同士で受粉をし、それ以外では自家受粉で交配したのですが、自家受粉のほうはシイナがかなり多く、販売できるほどの量が取れなかったというのが今回の結果でした。
一方で、兄弟株同士で受粉したほうは種子が目視できたので、やはりできることなら自家受粉ではない方が好ましい₍当然ですが₎ですね。
発芽率に関してもまだ確認していないのですが、自家受粉の種子で一度蒔いてみてその辺も確認してみようと思います。
来期以降は開花株がもっと増えると思うので、その時は自家受粉せずに済むことを祈ります♪
まとめ
チレコドン・シングラリスの実生栽培記録をまとめました。引き続き状況に進展があれば更新していきます。
種子が採取できるようになると、当サイトのショップページで販売することもありますので、興味がある方はぜひ是非SNSのフォローやショップアプリでのご登録していただいてお知らせを受け取れるようにしてくださいね!