クワ科のドルステニアは世界で120種類くらいあると言われていますが、その中でも日本で園芸品種として流通し、人気のある品種は10~20種類程度だと思います。
私は奇怪な花を咲かせるドルステニアにすっかり魅了されてしまい、できる限り多くの品種を集めて自家採取できるようにしている最中です。
私のドルステニアコレクションはまだまだ数種類程度しかありませんが、奥の深いドルステニアの魅力と品種ごとの特徴などに付いて本記事でまとめたいと思います。
出来る限り多くの品種をご紹介したいのですが、基本的には私が実際に自分で栽培している品種を中心にご紹介し、新たな品種を手に入れたらその都度この記事を更新していくようにしたいと思っています。
情報としては手元にあってもまだ自分で栽培したことがない品種などについては、写真が無かったり内容が薄かったりすると思いますがご容赦ください。
主なドルステニアの種類|品種一覧
- D. foetida(フォエチダ)
- D. crispa(クリスパ)
- D. crispa var. lancifolia(ランキフォリア)
- D. horwoodii(ホルウッディ)
- D. lavrani(ラブラニー)
- D. gypsophila(ジプソフィラ)
- D. gigas(ギガス)
- D. brasiliensis(ブラジリエンシス)
- D. barnimiana(バルミニアナ)
- D. zanzibarica(ザンジバリカ)
- D. hildebrandtii f. crispum(ヒルデブランドティー クリスプム)
- D. cuspidata(クスピダータ)
- D. cuspidata var. brinkmaniana(クスピダータ変種ブリンクマニアナ)
- D. carnosa(カルノーサ)
- D. contrajerva(コントラジェルバ)
- D. elata(エラータ)
- D. verdickii(ベルディッキー)
- D. benghalensis(ベンガレンシス)
- D. ellenbeckiana(エレンベッキアナ)
冒頭にも書いた通りドルステニアは120種類前後あり、まだ正式に登録されていない品種や交配種などを含めるとさらに多くの品種があると言われています。
その中でも、日本で園芸をしていて見かけることがあるドルステニアは上記の品種に絞られると思います。
ただ、ドルステニアの沼にハマったひとの中には、ほとんど流通していないような品種も手に入れて栽培しているかもしれません。それほどあの奇怪な花には中毒性があります(私だけ?)
肉ドルス・草ドルス・芋ドルス|人気品種と不人気品種
便宜上「肉ドルス」や「草ドルス」「芋ドルス」などと呼んでいますが、ドルステニアの外見上の特徴でよく呼ばれる「通称」のようなものです。
ドルステニア・フォエチダのように塊根部分だけではなく地上部に大きく幹を伸ばす品種を「肉ドルス」、ヒルデブランディ―のように葉の部分が植物の大半を占めるのを「草ドルス」などと呼んだりします。
日本で一般的に人気があるのは「肉ドルス」の方で、最もメジャーなのはやはりフォエチダでしょう。
ドルステニアは人気品種とそれ以外が極端に分かれるので、フォエチダのような人気品種は流通量も多く手に入れるのはとても簡単ですが、一方でレアなドルステニアはどれだけ血眼になって探しても見つからないことの方が多いです。
また、ドルステニアはバンバン種を飛ばして増える習性から「雑草」扱いされることも少なくなく、品種によっては種を飛ばす前に花芽を摘み取ることを推奨されてるものまであります。
人気品種だけどある程度大きな株にならないと花をつけない「ドルステニアギガス」や「ドルステニアジプソフィラ」なんかは、そもそも実生で増やすのが大変なので流通量も少なく見つけたとしても高価です。
また「ホルウッディ」は気難しく栽培自体が難しかったり、「ラブラニー」は雄株と雌株をそろえないと交配できないので種子が採りにくいなど、レアなドルステニアには流通量がなかなか増えない理由があります。
なのでどこを探しても「フォエチダ」や「クリスパ」など、増やしやすくて育てやすい品種が溢れ、レアなドルステニアには高額な値段がついてしまっているようですね。
さぁ、最近フォエチダでドルステニアの門を叩いた皆様には、この記事を通して他にもレアなドルステニアが沢山あることを知ってもらいたいな~なんて思っております。
ドルステニアの品種ごとの特徴|主に私が栽培している品種
ドルステニア・フォエチダ(Dorstenia foetida)
ドルステニアの代表品種といえばこの「フォエチダ」ですよね。
小型ですがどれをとっても同じ形はないと言っていい程、成長するにしたがって形が変化していき、思ってもみないところからも芽吹いて独特な形になっていくのが面白いです。
あまり用土などを気にせずに育てられますし、ちょっとやそっとでは枯れないので初心者向けです。丈夫で育てやすくて、、増える!
我が家での栽培方法は下の別記事でご紹介していますが、現在はどれだけ種を飛ばしてもいいように「野良フォエチダ」を効率よく育てられるよう大きめの鉢で栽培しています。
※周囲にこぼれ種で増えた野良フォエチダが沢山
フォエチダは自家受粉するので、特に何もしなくても勝手に種を作ってポンポンと飛ばし、場合によっては4~5mも飛ばすことがあるので、知らないうちに周囲の鉢で芽吹いてることが少なくありません。
親株を一つ持っていると、ネットで販売されているフォエチダの種子を買わずとも自分で採取できるのでおすすめです。
また、斑入りのフォエチダ「Dorstenia foetida f. variegata」という品種もあります。
斑入りも含めて比較的入手しやすいので、手に入れたい方はメルカリやヤフオクなどで探してみると良いと思いますよ!
ドルステニア・クリスパ(Dorstenia crispa)
※画像:@soshima_kirin
ドルステニアフォエチダによく似た品種で葉に皺(しわ)のあるタイプ「クリスパ」です。
画像はtwitterのフォロワーさん(@soshima_kirin)さんからお借りしました。
ドルステニアクリスパ
実生 pic.twitter.com/gB9k3xCUgQ— Shogo-Ape100-MT09 (@soshima_kirin) October 26, 2019
ドルステニアフォエチダと並んで剛健で育てやすく流通量も多いドルステニアで、フォエチダとの違いは「葉に皺がある」という点です。名前の「クリスパ」はそのまま「皺のある」という意味。
フォエチダ同様に種を飛ばし、種子の発芽率も高いので野良株がどんどん増えます。
ドルステニア・ランキフォリア(Dorstenia lancifolia)
ドルステニアクリスパの変種「ランキフォリア」です。
ランキフォリアの特徴は、あまり分岐せずにまっすぐ伸びる形と、中央にシルバーの線が入った細長い葉、チャコールグレーや黒に近い樹皮ですね。
※特徴的な細長い葉の中央には白(シルバー)の線が入っています
花の形はフォエチダとあまり変わりませんが、心なしかサイズは少々小さい気もします。
価格帯はフォエチダよりも1.5倍~2倍くらいで、流通量も少なめ。
個人的にはすごく気に入っている品種で、種子もさほど難しくなく採取できるのですが、フォエチダに比べると発芽させるのには少々テクニックが必要です。
安定して発芽~実生株栽培に持っていけるように現在挑戦中です。
ドルステニア・ハイブリッド(Dorstenia sp.)
※画像:@soshima_kirin
ドルステニアのハイブリッド「ドルステニア sp.」です。
画像はクリスパ同様にtwitterのフォロワーさん(@soshima_kirin)さんからお借りしました。
ドルステニアは多品種同士近い距離で育てていると交雑しやすいのが特徴で、交雑種であるドルステニアsp.という品種が結構な数出回っています。大体がドルステニアフォエチダと他品種の交雑種であることが多いですね。
私は持ってはいませんがドルステニアラブラニー(Dorstenia lavrani)のように、ドルステニアsp.として扱われていたものが正式に新品種として認められるものも少なくないので、親株同士がはっきりしているのであれば今後新品種として扱われるものも出てくるかもしれません。
ドルステニア・ホルウッディ(Dorstenia horwoodii)
肉ドルスの中でも小型で気難しいと言われているのが「ホルウッディ」。
成長も遅く小さい株が多いのですが花は咲かせてくれます。ただし、小さい株にできた花芽から取れる種子は発芽しにくいので、ホルウッディの繁殖にはドルステニア専門の栽培家さんも頭を悩ませているようですね。
日本では実生株の流通はほとんどなく、私はタイのナーセリーから購入しました。(※ドルステニアの栽培方法などの情報もその販売元のナーセリーで発信されているのを元にしています)
見た目の特徴は小型である以外に、縁がギザギザした葉と株元から仔株を吹く増え方。
私が購入したこの株も、掘り返してみると根に近い株元から仔株ができたのがよくわかりますね!フォエチダのように幹の途中から成長点を出したりはしません。
大きく育つと群生したような感じになるのでじっくりと育て上げたいですね。
ドルステニア・ギガス(Dorstenia gigas)
ドルステニアの王様「ドルステニア・ギガス」は、ドルステニア好きなら喉から手が出るほど欲しい品種。私も探しに探しまくって海外から取り寄せました。
成長するとドルステニアの品種の中で最も大きくなり、とても格好良くなります。
私の株は上の写真の時点では葉が落ちてしまっていますが、濃い緑色の葉は他のドルステニアとは違った肉厚で葉脈が細かく走った見た目をしています。
ドルステニア・ギガスは枝挿しでも増やすことができ、嬉しいことに枝挿しで増やされた株もちゃんと太るので、実生株を探すのが難しい場合は挿し木の株でも大丈夫。
ある程度大きな株にならないと花をつけないので、実生株自体があまり出回らず、見つけたとしても高価。希少性や親株の値段を考えると仕方がない所ですね。
ドルステニア・クスピダータ(Dorstenia cuspidata)
芋系のドルステニア「クスピダータ」は日本ではあまり情報がありませんが、流通はごくわずかながらあります。
自生地はセネガル~南スーダン~モザンビーク~ジンバブエあたりだそうで、大きなものでは背の高さは40cmくらいまでなることもあるようです。
塊根部はせいぜい4㎝くらいのサイズのようで、私のこの株も成長してもあと数ミリくらいなのかな?
単独で増やすことができるのかは不明ですが、種子が採れたら是非実生にもチャレンジしてみたい株の1つです。
ドルステニア・ベンガレンシス(Dorstenia benghalensis)
かなり希少で流通量が少ないドルステニア「ベンガレンシス」は、インド原産の珍しい品種です。
私が購入した株は若干徒長気味(⁉)ですが、塊根部のサイズも4~5㎝ほどありしっかりとしています。
ベンガレンシスの花は黒く、他のドルステニアとは一線を画す奇妙さがあります。
ドルステニア・コンフサ(Dorstenia confusa)
キューバが原産とされる草系のドルステニアで、日本国内ではほぼ流通はゼロ。
ドイツのKoehres社が販売していた種子を「なんだこれ、見たことも聞いたこともない品種だぞ」と興味本位で購入し栽培してみました。
播種から約3ヶ月で開花し栽培自体は容易ですが、イモ系のドルステニアに比べると面白みには欠けるかもしれません。
まとめ
現在までに私が保有しているドルステニアの品種をメインにご紹介しましたが、今後私が他の品種を入手したり、もしくはブログの読者様やSNSのフォロワーさんから多品種の画像などをいただけたらココの記事でご紹介させていただきます。
なかなかドルステニアの品種をまとめた記事が無いので作成しましたが、全ての品種を私一人で集めるのは難しいため、もし「私の持ってるドルステニアの写真使っていいよー」とご提供くださる方がいらっしゃいましたら是非ご連絡ください!
使わせて頂けた写真は提供者様のSNSやブログなどと一緒にご紹介させていただければと思います。
よろしくお願いいたします!
<ドルステニアの実生方法については下の記事もあわせてご覧ください♪>