こんにちは、金成コーデックスです。
凄く久しぶりの更新になってしまいまいましたが、冬季期間は植物の成長がほぼ止まるのと同時に私のブログ更新の手も止まっていました。書くことがあまりないんです^^;
当サイトでは以前、下のウィンゾリーの成長比較記事で室内温室栽培の環境の違いによってこれだけ成長度合いに差が出るよ!というようなことを書きました。
本記事はその延長線上で、冬季室内栽培(11月~4月)の期間において栽培環境で生育状態に差が出た様子を同種間で比較して、その成長の差を生んだポイントを考察したいと思います。
本記事の内容は、基本的には上で紹介したパキポディウム・ウィンゾリーの成長比較記事の内容とほとんど同じです。本記事はより初歩的な内容について書いており、使用しているLEDや栽培環境については上記記事の方が詳しいのでそちらもあわせてご覧ください。
Contents
室内温室栽培で植物を大きくするのが難しい理由
まず、初歩的な内容になりますが、簡単に植物の成長についてまとめたいと思います。
ここでは夏型コーデックスを想像しつつ話を進めますが、「植物の成長に関する要素」には何があるのか考えると、
- 水
- 肥料
- 日光
- 風
が思い浮かびます。(※④は例外的ですが個人的にはかなり大事な要素だと思ってる)
コーデックスに限ったことではありませんが、(良い悪いは別として)水をじゃぶじゃぶあげて、肥料もたっぷり与えていれば植物は大きくなります。
が、それはなかなかできません。
何でかというと、水をあげ過ぎれば土が乾くのに時間がかかるので根腐れを起こして植物は枯れます。これはコーデックス栽培でメチャ気を使う所ですよね。
肥料をあげ過ぎると肥料の栄養分に頼って成長するので、徒長しやすく貧弱な株に育ちます。これはほとんどの人が望まないコーデックスの成長の仕方ではないでしょうか。
しかも、これが冬の時期の室内栽培ではさらに難しくなります。
真夏に比べて室温が低いですし、屋外に比べれば風通しが悪いので土も乾きにくいです。日光のように鉢を温めてくれるような光も得にくいです。(※これらをすべて解決させようとすると、ヒーター、ファン、LED照明が必要になるのでお金がかかります)
つまり、冬はより土が乾きにくくなるんです。
冬の時期に水やりや肥料を与えて夏と同じように育てるには、根腐れのリスクが何倍にも膨れ上がります。実際、私もこの冬お気に入りの株を4~5個星にしてしまいました。
日本の栽培環境では沖縄などの一部の地域を除いて、冬に水や肥料を多めに与えて夏と同じように植物を大きくさせるのは結構難しいってことなんですね。
冬と言わずとも、夏でもマンション住まいだったり家の立地などによっては日光を確保しにくく、年中室内でコーデックスを育てている方もいらっしゃると思います。
そんな方でも、比較的植物の成長を促進させやすい方法とはどんなもの!?という事について、少しでもヒントになる内容がご紹介できたらと思います。
室内栽培で水やり頻度を高めるための方法
室内栽培でも植物を大きく育てるには、まず植物の成長に関する要素のひとつ「水やり頻度を高める」というポイントについて考えてみます。
私が思うそのポイントは以下の通り。
大事なポイントは3つ。
1.乾燥しやすい用土にする
私は基本的にコーデックスの栽培用土は「水はけの良さ」を重視して作っています。
水はけをよくするためには、土の粒を大きいものにしたり、日向土のように保水性がほとんどないような園芸軽石と呼ばれる類の用土の比率を多くするなどの方法があります。
一般的に粒が硬く大きいものは水はけがよく、粒が細かく柔らかいものは水持ちがいいです。
そのバランスを水はけの良い方向に傾けることで、水やりの頻度を上げても根腐れを起こしにくくなります。
2.室温(温度)を高くする
冬は室内といえども朝晩の室温は夏に比べて低くなります。
我が家の場合だと、東北北部の田舎の家なので暖房を切ってると早朝には5℃位まで下がってることもあるので、温室設備とヒーターが必要になります。
あくまで個人の感想ですが、温室内でのヒーターによる暖房熱オンリーよりも、発熱性のあるLEDライトによって太陽と同じようなあたたかな光が当てられることは植物の成長にとって結構大事な事なんじゃないかと思っています。
それに貢献するのが「COB式」と呼ばれるタイプのLEDライトなのですが、これについては後述します。
また、一般論ですが温度が高い方が用土の乾燥は早まり、気温が低いと土は湿ったままになります。
3.換気をし、風通しを良くする
植物の成長に与える「風」の影響は2つあると思っていて、1つは「風が当たることによって用土が早く乾くこと」。
もう1つは「植物に与えるストレスが幹を太く成長させる」という点です。
風通しが良い方が当然土が乾きやすくなりますので水やりの頻度を上げられます。
また、自生地のコーデックスがあんなにも立派に太くなる理由として、強い風が吹く過酷な環境がストレスになり植物の成長に関するホルモンを分泌させることも一因だといわれています。
植物に話しかけると大きくなるという話を聞いたことがあるかもしれませんが、それは植物に話しかける人は頻繁に植物に触れるので、それによってストレスを感じた植物が太くなろうとするからだそうです。
風は用土を早く乾かすほかに、植物にストレスをあたえるという点でも生長に関与しているんですね。
【まとめ】室内で植物を大きく育てるにはどうすればいいのか
冬場の、特に室内では「水やり」はあまり増やせないけど、「用土」「温度を上げる」「換気」を調整することによって植物の成長を促せそうだと分かりました。
そして用土についてはすでに説明したので、次は「温度」と「換気」です。
本記事で特にふれたかった本題がこの「温度と換気」なんですね。
すみません、ようやく本題に進めます。
成長を分けた環境の違い
室内栽培用のLEDライトは「SMD式」よりも「COB式」の方がより大きく成長した
植物育成用のLEDライトにはいくつか種類がありますが、良く流通してるものとして「SMD式」と「COB式」の2つがあります。
SMD式は小さなLEDが沢山ハンダでついているライトです。高照度を実現するためにLEDの数がとても多いのが特徴。そして安価です。
一方でCOB式は、LEDが埋め込まれていて数が少ないですが、明るく放熱性が高いのが特徴で、値段はSMD式に比べると高価です。
我が家ではCOB式のLEDライトを使っている方が遥かに大きく育っています。LEDライトの違いでここまで成長度合いに差が出るものなのかと不思議に思うほどです。
COB式は熱を持ちやすいので葉焼けしやすく、使用する場所のスペースの問題で植物との距離が取れる必要があります。
個人的に試した範囲では、多肉質のユーフォルビア系はCOBの強い光と熱にも耐えられるものが多かった(イネルミス、ステラータ、ゴルゴニスなど)ですが、ドルステニア(ギガス、ホルウッディ、フォエチダ、ベンガレンシス、クスピダータ)やオペルクリカリアデカリーは一瞬で葉焼けしたので距離を十分にとる必要があります。
パキポディウムは葉焼けしますがそれに耐えようと葉がかなり剛質に変化する印象です。
高照度と放熱性の高さはCOBライトの特徴でもありますが、植物によって超絶葉焼けしやすいものもあるので、確実に植物本体との距離がとれる場所での使用が原則です。
私が使用しているCOB式のLEDライトのレビューは下の記事をご覧ください。COBとSMDの違いについてももう少し詳しく書いています。
他にも、COB式のLEDライトは結構色んな種類がありますが、どれも結構なお値段がしますね。下のCOB式LEDは私が使ってるものと同種ですがパワーがかなり強いので値段も高いです。
Amazonや楽天で検索する場合は「植物 LED COB」なんかのキーワードで検索してみてください。
24時間換気しっぱなし
もう1つの違いは、毎日24時間ミニ扇風機をフル稼働させていること。
植物に与えるストレスというのもあるでしょうが、一番はやはり用土が乾燥しやすくなるという点だと思います。
元々はCOB式のLEDを使っていることもあり、温室内の上の方に熱がこもりやすかったのでそれを循環させるためにつけたのですが、温室内の空気循環と温度の安定が用土の乾きやすさにも影響を与えていたようです。
SMD式のLEDを使い換気をしていなかった温室に比べて、COB式LEDを使い24時間換気していた温室は、水やりの頻度が約2倍になっていました。
これらの環境の違いが、植物の生長スピードに大きく差をつけたのではないかと思います。
私が使っている自動首振り式小型扇風機のレビュー記事もあります(下)が、この商品自体は既に在庫切れ(2020/4現在)だったので、参考程度にご覧ください。
同種の各植物間での成長の比較
前置きが長くなりましたが、1年間のワンシーズン(冬)の栽培環境の違いがどの程度植物の成長に差を与えたのか見てみます。
因みに小さい方の株ですが、いずれも休眠させずに同じ室内でSMD式のLEDライトを同じ時間照射しています。(※換気は無し)
※左側のピンク色の方がSMD式LEDを使った方、右の白い光のガラス温室がCOB式LED
用土も同じものを使っていて施肥の頻度も同じなので、違いはLEDの種類と換気の有無、またその状況により用土が乾燥して水やりの頻度が増えたという点が違うポイントです。
いずれも夜間・朝方のヒーティングは行っていますが、COB式ライトの方が熱を発するので温室内の温度には平均して2~3℃の違いがあります。
Pachypodium fiherenense
むっちり成長するタイプのパキポディウム・フィヘレネンセは3倍くらい成長に開きが出ました。
真上から見たらこんな感じ。
背の高さが違い過ぎてピントが合いません・・・
実生1年弱ですが、小さい方はこれくらい。
そして大きい方はこれくらいです。葉の伸びがいびつなのは比較的光源に近い場所に置いていたので、葉の伸びに差が出たのだと思います。
実はこのフィヘレネンセは、僅か2か月弱の間栽培環境を変えただけででた差です。
COBライトの近くにおいても葉焼けはせず、ぐんぐん成長しました。
Pachypodium leucoxanthum
パキポディウム・ブレビカウレ・レウコキサンツムの実生1年弱の株ですが、これもかなりの差が出てます。
元々は同じ白い鉢でしたが、流石に窮屈になったので途中で一回り大きい黒い蘭鉢に植え替えました。
葉焼けが起きていますが成長自体は順調そのもので、葉は気の枝のように固くパリパリになってます。しなやかさは全くない。ですが枯れ落ちることもなくしっかりとボディにくっついてます。
大体2倍以上のサイズの差があると思います。
Euphorbia stellata
ユーフォルビア・ステラータ(飛竜)は、どちらも実生2年の株で同じ種子を同じタイミングでまきました。
去年の冬支度で室内にしまい込むときまでは全く同じ環境で育てていたので、サイズ感もほとんど同じでした。
その時の証拠画像がこちら↓
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2019年8月11日時点では同じプレステラに寄せ植えしているので全く同じ環境です。
サイズ感も枝が1本と2本なの以外は、大体同じくらいですよね。
そして一方をガラス温室に入れて1~2週間後の1月21日の投稿がこちら↓
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「ガラス温室に入れた方がちょっと動き出した」という投稿ですが、この時点でもまだ少し動き出したかなくらいで、そこまで大きさに差は出ていませんでした。
そしてそこからわずか2か月強の4月2日の時点が下の写真です。
この大きさの違いはかなりはっきりとしてて分かりやすいですよね。
枝葉(?)の部分の太さも本数も違います。
動き出したかな~くらいの感想からわずか2か月くらいでこれだけ伸びてるのは、どんだけ栽培環境が違うんじゃ!?と思いますが、前述の通り「COBライト使ってて、ファン24時間つけっぱなしで、水やり回数が大体倍」ってくらいです。
Tylecodon reticulatus
チレコドン・レティキュラーツス(万物想)は冬型コーデックスですが、こちらもCOBライトの温室で栽培するとまるで別の植物かと思うくらい成長に差が出ました。
小さい方はこれくらい。これで実生1年弱くらいです。
万物想の種子は微細種子といって鼻息でも飛びそうなくらい細かな種子からのスタートなので、大きくなるまでにそこそこ時間がかかります。この株はまぁ妥当なサイズかな?
大きい方はサイズ感としては3倍近く違います。
冬型ですが温室栽培で夏のような環境だったにもかかわらず、COBと24時間換気で大きさにここまで差が出ました。
Pachypodium windsorii
ウィンゾリーは(多分結構バロニー寄り)、冒頭の関連記事で紹介したものと同じものですが、ワンシーズン環境を分けて育てることでここまで差が付きました。
葉はうねうね、かなり固く葉をつまんでも鉢が持ち上がるくらい強いです。
株本体のごつさもちょっと比較にならない位太くなっていて、まるでドーピングしたかのような見た目です。
まとめ
冬のワンシーズン、同種の植物を別環境で育ててみて育ち方の違いから、その要因となったものについて考察してみました。
単純に「このLEDライト使ったらデカくなるよ!」とか「土はこれがBESTだよ!」とかいうつもりは全くなく、私が実験した環境ででた差をご紹介したまでなので、もっと成長させるための最適な環境はあるはずです。
ただ私の感想としては以下のポイントが今回の学びとなりました。
・LEDライトはCOB式の方が大きくなる。
・COB式ライトは葉焼けしやすいので植物本体との距離を十分に保つ必要がある
・COB式ライトは合う植物と、合わない(葉焼けしやすい)植物との差が大きい
・保温性の高い環境で常時換気を行い用土の乾燥を早め、水やり頻度を上げると成長につながる
・環境さえ整えれば冬でも休眠させずに大きく育てることができる
今回ご紹介した内容はあくまでも私が実際に栽培して得たものなので、植物の成長を保証するものではありませんが、コーデックスを大きく栽培するうえで必要な内容が含まれていると思います。
それぞれの栽培環境によって状況は変化すると思うので、ぜひ実際に試してみて調整を行ってみてください。
特にCOB式のLEDライトは沢山の種類があるので、使ったライトによってどの程度成長に差が出たかなどが新たに分かりましたら教えていただけますと嬉しいです。
では、引き続きコーデックス栽培を皆さんで楽しみましょう♪